経営指標語句:キーワード

 

・インタレストカバレッジレシオ(Interest Coverage Ratio)
 金利負担能力比率と言う。 借金の返済の原資と成る事業収益(営業利益+営業外収入)と、
 返済しなければならない利子(金融費用)を比較する。
 金利負担能力比率=事業利益(営業利益+営業外収入)÷金融費用(営業外費用)
 この値は大きい程良く、100%を切ると、事業利益だけでは金利の支払が出来ない事に成り、
 資産を取り崩すか、新たに借入をしなければ、資金繰りに窮して倒産となる。

・営業キャッシュフロー(営業C/F:Cash Flow)
 企業が本来の事業で得た現金収入の事で、通常はプラスと成る。 マイナスだと資金調達が必要。
 営業C/F=当期純利益+減価償却+買掛金ー売掛金(その企業が本来の業務で得た現金収入の事)
 減価償却は費用として計上されているが、実際に現金が出て行くわけで無い。
 買掛金は負債だが実際に現金を支払っていない。
 売掛金は、資産だが実際に現金を受け取っていない。

・株価キャッシュフロー倍率(PCFR:Price Cash Flow Ratio)
 簡易キャッシュフロー(純利益+減価償却)を株式数で割った一株当りキャッシュフロー(CFSP:Cash
 Flow Per Share) と株価を比較した倍率。  PCFR=株価÷CFPS

・株価収益倍率(PER:Price Earning Ratio)
 その時々の株価が一株当り利益EPS(後段の項参照)の何倍かを表す。  PER=株価÷EPS
 PERの倍率で市場平均や業種別平均と比較して株価の割安・割高を判断する。
 マクロ的には、純利益と株価は正の相関関係が証明されている。 
 米国ではPERの倍率が20倍前後が基準と言われている。

・株価純資産倍率(PBR:Price Book−value Ratio)
 純資産(Book−value:帳簿上の価値)とは、全ての負債を支払った後に残った資産を言う。(会社の解散価値)
 通常は、帳簿上の資産と全てを売却した時の時価とは異なる為、純資産と呼ぶ。
 一株当り純資産(BPS:Book−value Per Share)は、純資産を発行株式数で割った値。
 PBR=株価÷BPS  株価の最低価格はPBR=1倍でBPSの額と同じとなる。

・株式益回りと配当利回り
 一株当り利益(EPS)と株価で利回りを計算したものが株式益回り。  株式益回り=EPS÷株価
 年間の配当額を株価で割ったものが配当利回り 配当利回り=インカムゲイン(配当)÷株価
 配当利回りは一般に預貯金より高く、長期金利より低くなる。
 株価益回りと債権利回りの差をイールドスプレッド(YieldSpread)言い、株価の割安・割高を判断する指標で
 長期金利は変動しない為株価に左右される。 平均値と比べてイールドスプレッドが大きい時割高、小さい時
 割安と判断出来る。

・キャッシュフロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)
 2001年3月から企業に公表が義務付けられる財務諸表の一つで、現実に幾らの現金が出入りして、幾らの現金が
 残っているかを示す計算書。 営業C/F、投資C/F、財務C/Fの三分類有る。 

・経済付加価値(EVA:Economic Value Added)
 企業が1年間で得た収益(税引後営業利益NOPAT)から、その利益を生出す為に使用したコスト(総資本COC)を
 差引いた利益を言う。 EVA = 税引後営業利益NOPAT − 総資本コストCOC

・減価償却(Depreciation)
 時価の経過により資産価値が減少した分を費用として認める事を減価償却と言う。
 費用の算定方法は、@定額法:毎年一定額を償却する方法 A定率法:毎年一定率を償却する方法の二通り有る。
 定率法が有利:現在価値PresentVlueの方が将来価値FutureValueよりも価値が高いと判断されるから。

・固定比率
 固定資産と資本を比較した指標で、 固定比率 = 固定資産 ÷ 資本
 工場設備や研究設備の様にすぐに利益を生まない長期投資をどの程度資本金でカバー出来るかを見る。

・財務キャッシュフロー(財務C/F)
 本業で儲けたお金を未来に投資した後で、尚且つ余ったお金を@債務の返済A株主への配当自社株買い等に当てる
 また、資金が足りなくなった場合は調達(借入・社債発行・新株発行)する必要が有る。
 財務C/F = 資金の調達(借入、社債発行、新株発行) − 債務の返済・株主への配当・自社株買い

・自己資金
 事業を始める為の元手資金の事。 自己資金の最大の特徴は、無利子の資金で有る。

・資産と負債の管理(ALM:資産(Asset)負債(Liability)Management)
 資産と負債を管理する事をALMと言う。 ALMの指標には流動費率、当座比率、負債比率、資本比率、固定比率、
 インスタント・カバレッジ・レシオが有る。 (各項目参照)

・資産利益率(ROA:Return on Asset)
 利益(Return)と資産(Asset)の比率を表す。 ROA=事業利益(営業利益+営業外収入)÷資産
 資産=事業資金全体の運用利回りは何%かを表す。  米国ではROA=10%以上が目標とされている。

・市場付加価値(MVA:Market Value Added)
 MVA = 企業の時価総額(市場での売買株価X発行株式数) − 資本の額
 企業の市場価値(MarketValue)と言う。 企業が株主から預かったお金を元手にして事業を行い、利益を生出す
 事に対する市場で付けられた値段。

・資本構成
 資本=株主が出資したお金、負債=社債発行や銀行の融資のお金
 会計用語では資本の部(Capital)と負債の部(Liability)で区分する。
 事業資金=資本+負債

・資本比率
 資本比率 = 資本 ÷ 資産  資本と資産(負債+資本)を比較する指標
 自己資本比率(資産に対する資本の比率)

・資本利益率(ROE:Return on Equity)
 ROE = P/Lの純利益 ÷ B/Sの資本
 純利益(Return)と資本(Equity)の比率を言う。 元金(資本)の運用利回りは何%かを表す。
 米国では、ROE=20%以上が目標と成っている。

・税引後営業利益(NOPAT:Net Operation Profit After Tax)
 経済付加価値EVAを算出する為に使用される年間の収益は、税引後営業利益(NOPAT)を使用する。
 税引後営業利益はキャッシュフロー計算書から求める事が出来る。
 @キャッシュ売上=営業収入+投資収入(利子・配当等の現金収入)
 Aキャッシュ支出=営業支出ー減価償却ー税金
 B税引前営業利益(EBIT:Earning Before Interest and Tax)=キャッシュ売上ーキャッシュ支出
 C税引前営業利益から減価償却費を引いて課税対象額を求め税額を計算する。
 D税引後営業利益(NOPAT)=税引前営業利益(EBIT)ー税額

・総資本コスト(COC:Cost of Capital)
 総資本コストは、負債コストと資本コストの加重平均したもの。
 負債コストは有利子負債のコスト(年間利子払い額÷負債額)で、利益から費用として差し引かれるので減税効果が有る。
 資本コストは一般的に、長期金利+リスク・プレミアムが使用される。(要するに、株主が経営者に要求する運用利回り)
 資本コストは負債コストよりも高くなる(負債より資本の方がリスクが高くなる為)

・損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
 企業の一会計期間の経営成績を表したもの。 決算報告時に示される財務諸表の一つ。
 営業損益(OperationProfit/Loss)=売上総利益(営業収入(OperationIncome)−製造原価)−販売費及び一般
                          管理費
 経常利益=営業損益+営業外収入ー営業外費用
 税引前損益(PretaxProfit/Loss)=経常利益+特別利益ー特別損失
 税引後当期純利益(ProfitAfterTax)=税引前損益ー法人税+社会保険料
 P/Lの最後の行に純利益が表示される事からボトムライン(BottomLine)と言う。

・当座比率
 流動資産には、在庫や短期保有(1年未満)の有価証券が含まれるが、不良在庫や含み損の株等であれば、流動比率
 では、財務の安全性が測れない。 そこで、銀行預金等今すぐにでも換金出来る当座資産(運転資金)と、短期に返済
 期限の来る流動負債を比較したものが当座比率である。
 当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債   一般に100%以上が適正。

・投資キャッシュフロー(投資C/F)
 投資C/F=投資損益ー(設備投資+その他投資)  本業で稼いだお金を度の様に投資したかを表す。
 投資損益は、P/Lのの営業外利益、営業外損失、特別損失の項目から見る。
 設備投資や有価証券の短期投資等は、複数年のB/Sから固定資産や投資有価証券の増加額を求め、当年度の資産
 売却額を差引く事で計算できる。

・配当性向
 純利益のうち、幾らを株主への配当に回すかを配当性向と言う。
 日本では、配当額は額面の10%と言う、暗黙の了解が有った(額面50円なら配当5円)が、現在の経済環境及び、
 企業の株主重視への方向転換で、変わってきている。

・配当利回り
 年間の配当額を株価で割ったもの。  配当利回り=インカムゲイン(配当)÷株価
 配当利回りは、預貯金や債権投資と比較して、株式投資が有利かどうかの判断指標と成っている。
 一般に、配当利回りは、預貯金より高く、長期国債の利回り(長期金利)より低く成っている。

・配当割引モデル(DDM:Dividend Discount Model)
 配当割引モデルの考え方は、毎月の賃貸料から不動産の適正価値を算出する還元法と同じ考え方。
 ある投資商品を保有する事で毎年(毎月)支払われるお金を一つづつ現在価値に割引いてそれを合計して適正な価格
 を導く方法を言う。   株式の現在価値=配当額÷還元利回り
 将来価値を現在価値に割引く際の割引き率を還元利回りと言う。 還元利回りは、その時々の預貯金の利息や投資の
 利回りを指す。 還元利回りによって割引かれた現在価値を還元価格と言う。

・一株当り利益(EPS:Earning Per Share)
 その年度の純利益(P/Lの当期利益)を発行株式数で割った値で、一株当りの利益額を表す。
 EPSが大きい程会社の価値が大きいと考える。  
 配当性向=配当金÷EPS

・ファイナンス(Finance=資金調達方法)
 資金の調達方法をファイナンスと言う。 それには四つの方法が有る。
 @自己資金
 A銀行から融資を受ける(担保の提供と利息の支払が伴う)
 B社債の発行(債券償還日までの利息を付ける事と元金返済が伴う)
 C株式の発行(株式には利息の支払と元金の返済が無い代わりに、利益の中から配当を支払う)
   新株発行を伴う資金調達をエクイティファイナンス(Equity Finance)と言う。

・負債比率(Dept Equity Ratio)
 負債比率は、負債と資本の比率を見る指標。   負債比率=負債÷資本
 企業の財務の健全性を測る基準として注目されている。

・フリーC/F(FCF:Free Cash Flow)
 企業が自由に使えるお金の事。(必要な支払を済ませ、尚且つ残ったお金)
 FCF=営業CF−事業維持の為のキャッシュフロー(設備投資や研究間発費等)
 FCFは、企業を現状から、より以上に改善する為の原資となる。 FCFが無ければ現状維持しかできない。

・流動比率
 資産の部における流動資産と負債の部における流動負債との比率
 流動比率=流動資産÷流動負債
 一般に流動比率は200%以上が適正とされている。 
 流動負債は1年以内に返済期限の来る借金。 流動資産は、換金性が高い資産。
 流動比率が高いと、資金繰りが苦しくなっても、流動資産を換金して対処出来る。

 

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