PCオーディオ雑記



現在のシステム

書斎
・PC:富士通LIFEBOOK A572/E
・アンプ:YAMAHA DSP-AX440
・スピーカー:B&W MATRIX805V
・USB DAC:Topping D10
・正体不明のBDプレーヤ(BD-120K)とテレビSHARP AQUOS(LC-32VS)


  20.7.30掲載 7.31更新
   
   

 

PCオーディオ事始め(20.07.29〜30記)

・新居とオーディオ(1997ごろ)
 私の自宅には大まかに三か所、音楽を聴ける場所があって、二階の居間、三階の寝室と書斎がそこである。実際には二階の居間で音楽を流している時間が最も長いのだが、こと「音楽鑑賞」と構えて聴く場合には三階の書斎に行くことになる。メインのシステムがそこにあるからだ。
 この部屋は変則的なL字型の八畳で(つまりは、自宅の間取りを設計した際に余った部分を書斎としたのだった)、一方には本棚が置かれ、一方にはオーディオと楽器、そして机を置いている。もともとここで音楽をやるつもりだったので初めから窓は二重にしてあり、プルーストが自宅のコルク張りの音楽室にカペー四重奏団を呼んで演奏させたなんて吉田秀和が書いていたのに影響されて、床にはコルクを張った。
 新築当初に安月給のサラリーマン(当時26歳、家のローン、婚約者あり)のお寒い懐に可能な限りのシステムを組んだ。まず、音の出口であるスピーカーが最も大事だと思ったので、「〇×カメラ」からオーディオ専門店まで何店もめぐっていろいろなスピーカーを試聴したところ、比較を絶して良かったのがB&WのMATRIXシリーズであった。802が気に入って、喉から手が出るくらい欲しかったが、さすがに大幅な予算オーバーであり現実的なところでブックシェルフ型の805Vに落ち着いた。(ちなみに試聴用のCDはクレンペラー指揮のブルックナー5番、ホグウッド指揮・カークビー歌のペルゴレージ『スターバト・マーテル』、それにR.E.M.の『Out of Time』を持って行った)
 アンプとCDプレーヤは当時音が良いと評判だったKENWOODの「ハイコンポ」K'sシリーズのKAF-7002とDPF-7002。それとミニディスクプレーヤDMF-7002も購入した。
 それらに以前から愛用していたSONYのウオークマンサイズのDATプレーヤTCD-D7を加えたシステム構成であった。一目でわかる一点豪華主義的な代物だったが、出てくる音には特に不満もなく、以来今年(2020)まで基本的な構成に変更はなかった。

・故障と不具合
 以上の機器、今年まで現役だったのでかなり長持ちしたほうだと思うが、どれも不具合とは無縁ではなかった。B&W MATRIX805Vは購入して2年ほどしたある日、一方が壊れて音が出なくなった。購入した店に持ち込んで修理してもらったところ、幸いにしてあまり時間も費用もかからずに完全に直った。それにしてもこの時は購入店(秋葉原の有名な某オーディオ専門ショップ)で異様に失礼な対応をされて本当にびっくりしてしまった。こういう専門店というのは往々にしてしばらく顔を出さないうちに雰囲気がガラッと変わっていることがある。ちょっとトラウマになってしまい、以来オーディオ専門店に出入りすることはほとんどなくなった。
 SONYのDATプレーヤも21世紀に入る前に壊れた。そのころにはもうDAT自体が廃れていたのでしばらく放置していたが、ある時思い立ってこれも秋葉原のSONYのサービスショップに持ち込み、修理してもらった。部品がないかもしれないといわれたが幸いにして直り、嬉しかったが修理代はかなりかかってしまった。しかも直ってからも結局活躍の場はほとんどなかった・・
 KENWOODのKAF-7002とDPF-7002は2006年に相次いで不調になった。アンプのほうは何もしないのにinputがカチカチ言いながら切り替わる症状、CDプレーヤのほうは大方のCDが読み込めなくなった。これは確か渋谷のほうにあったKENWOODのサービスショップに持ち込み、修理してもらったのだと思う。CDのほうは直ったが、アンプのほうは完全には直らず、頻度は下がったものの気持ちよく音楽を聴いているうちに、突然カチッと言って入力が切り替わってしまう症状は続いた。
 ミニディスクプレーヤDMF-7002はミニディスクの規格が廃れたこともあり、壊れる前にお役御免となり、今でも我が家の押し入れに眠っている。

・PCへの移行(2000頃〜2018)
 書斎で本格的にPCで音楽を聴くようになったのはそんなに昔の話ではない。ToppingのUSB DAC D10を導入したのが2018年の3月末なので、そこからだと考えるとまだ2年ほどしか経過していないことになる。しかしパソコンを音楽鑑賞に利用しだしたのはもっとずっと遡って、2000年ごろ。それまでMac一辺倒だった私がWindows機を買って、すぐに導入したのがExact Audio Copy(EAC)というCDリッピングソフトだった。これはそれまでCDダビング作業に使っていたDATの代替となるものだった。これで図書館や友人から借りたCDをWAV音源化して、それをCD-Rに焼いてCDプレーヤで聴いていた。プリンタについていたCD印刷モードをフル活用して、凝ったラベルをこしらえたりして。
 PC内の音源をそのまま聴くようになったのはいつごろからだったか。ずっと下って2013年ごろだったろうか、EACの音源を聴いたり、当時発見したフリー音源サイトのBlue Sky Labelのお世話になったり(ここでPCオーディオのあらましを学んだし、セル指揮のプロコフィエフ5番の音源は凄かった!)、SoundEngine Freeという音声ファイル編集ソフトでチェコのネットラジオの民族音楽を録音して喜んたりしていた。今思いだすと遠い過去のことのようですごく懐かしい。レディオ・イーフ・ツィンバルカという局だったが今ではもう探し出せなくなってしまった。中欧のツィンバロンの響きが、バルトークのピアノ曲やラヴェルの『ツィガーヌ』を思わせて楽しかった。
 さてその際には今も二階の居間で稼働中のLepai(Lepy) LP-2020Aという激安中華デジアンにPCのイヤホンジャックからコードをぶっ刺し、ヤフオクで安く入手したB&WのDM601S2から音を出していた。全体のシステムの中で、スピーカーにだけ注力するという姿勢だけはここでも変わっていなかったわけである。
 foobar2000を導入したのもこのころだったと思うけれど、PCオーディオの基本的なことも知らず、PCのノイズまみれ(と、言われる)音を聴いて別に不足も感じていなかった。
 何しろ三階には同じB&Wとはいえ別格の音を鳴らす805Vと、おぼつかないながらもそれなりにまだ働いてくれているアンプとCDプレーヤがあるわけで、サブシステムがどんな音を鳴らそうがお遊び程度にしか受け止めていなかったわけであった。Lepaiのアンプ自体も怪しい代物で、すぐに右からの音が途切れてしまう。そのたびに右のコードをぐりぐりこじったり、抜き差ししたりすると直るのだった。(そういえばここ数か月、その症状が出ていない。いま初めて気づいたが、気づいたとなったらまた再発しだしたりして)
 そのころ、書斎に置いてあるデジタルピアノとPCをMIDIでつないで、シンセ音源を鳴らせるようにしたいといろいろ試したことがある。結局何となくうまくいかずにやめてしまったのだが、結果書斎に用途未定の一台のノートパソコンが残されることとなった。そこでこれをアンプにつないでみようということになった。
 はじめは居間のものと同様にイヤホンジャックからコードをアンプに直結してみたが、さすがに音が悪く、しかもブーンと持続する低音ノイズまで乗っていて、まったく使い物にならなかった。そのころにはさすがにDACというものの存在も知っていたので、導入しようと考えたものの何を選んでよいのかわからず、とりあえず目についた中で最も安かったオーディオテクニカのAT-HA40USBを購入、PCとアンプの間に入れたところノイズは消え、音もそれなりによくなったと思われた。
 ところが、それなりに・・と当初は思ったのだったが、実際には信じられないようなことが起きていた。
 ある日、ふと思い立って、DPF-7002とPCに内蔵のプレーヤの音を比較してみることにした。パノハ四重奏団のスークとラヴェルの弦楽四重奏曲を収めた2007年のSupraphon盤を両方で聴き比べた。もちろんアンプとスピーカーは同じものである。すると、意外なことに、PC内蔵プレーヤのほうが明らかに音が良い。もともと室内楽が比較的苦手なアンプで、遠近感なくこってりと濃い絵の具を太いタッチで塗りたくったような音像になりがちなのだが、PCのほうは各楽器がしっかり分離し、弓圧の変化による音の変化やアタック感まできれいに再現される。DPF-7002のほうは線が太くて迫力はあるが、悪く言えば平坦でシンセ音のように聞こえる。
 きちんと詰めていけば、PCのほうが良い音を奏でるのだと実感し、PCオーディオに対する認識を改めた瞬間だった。

・現在のラインナップへ
 オーディオテクニカのDAC、AT-HA40USBは音はそれなりに良かったものの、一点看過できない大きな欠点があった。それは、数は少ないものの所蔵していたDSDデータが再生できなかったこと。これがDACの性能なのか、foobarの設定にミスがあったのか、はたまたPCのスペックのせいなのかは結局わからずじまいだったものの、当時手を尽くし、散々試してみてもどうしてもきれいに再生することはできなかった。まったく再生できない音源もあったし、ほとんどは一応音にはなっても、すぐに傷の入ったCDのような大きなノイズが入って止まってしまったりする。DAC自体が何も表示しないので、中で何が起きているのか推し量ることもできなかった。
 PCはNECのVersaPro VJ16ER-DというCPU速度が1.60GHzしかないロースペックマシンで、動画さえろくに再生できない代物だったのでこちらが原因だったのかもしれなかった。
 そんな具合にDSD再生が課題になっていたところ、2017年の末に、Toppingという聞き慣れない中華メーカーからD10という1万円弱のUSB DACが発売され、非常に評判が良いらしいという噂を聞いた。正直なところLepaiの一件もあって中華オーディオにいい印象はなかった。が、その前年たまたま釣りの最中に二回も国内メーカーのそれなりの値段のするMP3プレーヤ水中にを落としてしまうという事件があり、その時もう持ち歩くのは安物にしようとAGPTEKという中華メーカーのMP3プレーヤを購入した。そしたら意外にもこれが非常によく、結局クルマ用と持ち歩き用に複数台買ったりして、中華メーカーに対する警戒心もだいぶ薄れることとなった。そんないきさつもあり、失敗覚悟でTopping D10、物は試しと買ってみることにした。
 届いた品物は梱包も製品も非常にしっかりしていて洒落ており、AGPTEKと似た洗練が感じられた。接続はドライバーを入れる際に懇切丁寧なPDFの説明書がついており、ほとんどPCの機種ごとに変わるとさえ言われる複雑怪奇な設定の試行錯誤がなかったのには本当にほっとしたと言わざるを得ない。何よりも嬉しかったのはDSDファイルが難なく再生できたことで、しかもDSDならDSD、PCMならPCMと周波数とともにディスプレイに表示されるギミックがとても楽しい。
 正直なところPCMのほうの音質が変わったかどうかはわからなかったが、これでCDからDSDまで、手持ちの音源を全てPCで再生できるようになった。
 ここに、我が家の最初の完全なPCオーディオ環境が成立したのであった。時に、2018年3月末のことであった。
[Home]