体の動かし方の基本と実技
 変形がある子どもに対して

東京都肢体不自由教育研究会
「運動学実習とその研究」部会
春季協議会の内容です。

2002年5月15日

@体の動かし方の基本

(ア)       行う人の適切な姿勢

安定していて、しかも動ける姿勢がよいです。手だけの動きにならないようにします。

(イ)       本人の適切な姿勢

安定した姿勢が必要です。例えば股関節を動かすにしても頭部や体幹が安定していなければ、いっしょに動いてしまいます。

(ウ)       動かさないところの固定

例えば、股関節を動かすには、本人の体の重みによってある程度固定できます。さらにもし必要ならば、もう一方の手で固定する必要があります。

(エ)       支持

動かす部分を支持することですが、重さを支え動きを助ける必要があります。支える場所は、例えば股関節を動かすのならば大腿骨ですが、場合によっては下腿を支えることもあります。

(オ)       牽引(関節の摩擦を減らす)

関節が離れていた方が動きやすいのですが、無理に離すことではなく、例えば股関節を動かすときは、足の重みで関節が押し付けられないようにするという感じです。

(カ)       適切な運動範囲

変形のある子どもに対しては特に大切です。可動域いっぱいに最初から動かすというよりも、動かすことによって、筋緊張が適切になるように範囲で動かしていくのがよいでしょう。また、方向については、直接筋を伸ばす方向に動かすのではなく、まず、動きやすい方向をさがして、そこから動く範囲を大きくしていくのがよいでしょう。

(キ)       適切なスピード

速く動かすことによって、伸張反射が起こってはいけません。また、速く動かすと相手の反応を見る間がなく、痛みを引き起こす可能性もあります。

(ク)       相手の反応を見ながら

 相手の反応とは、表情や言葉だけでなく、筋の張り具合、動かしたときの抵抗、動きの滑らかさなども感じることが大切です。適切なスピードとも関連しますが、このように注意しながらゆっくり行うことによって、自分から動かすことを促すこともできます。

A     変形と拘縮

変形とは、体の形が正常でないことをいい、拘縮とは関節の可動域に制限があるというように使い分けてもよいでしょう。例えば、体幹に変形がある、膝関節に拘縮があるというように使います。

B     関節の拘縮の種類

(ア)       関節性―関節そのものが原因で起こります。

(イ)       軟部組織性−皮膚、皮下組織、腱、靭帯が原因で起こります。

(ウ)       筋性―筋の外傷、炎症、変性、それに対する痛み、痙性、弛緩性、筋力低下などで起こります。

例えば、筋が短縮していて、さらに痙性があるために動きにくいという場合もあります。また、筋緊張が低くて、股関節が広がっている姿勢をいつもとっているために、拘縮が生じることもあります。

C     変形と拘縮に対する体の動かし方

実際に実技を行いながら説明します。基本的には、@の体の動かし方の基本と同じですが、一つの関節の拘縮や、一部分の変形だけを問題にするのではなく、いろんな部分の変形・拘縮を関連付けて行うことが大切だと思います。また、動かした範囲を生かした姿勢をとってみたり、活動したりすることが必要です。また、痛みは生じさせると逆効果になります。 

D     実技―背臥位での姿勢のとり方と動かし方

−側弯、腰椎の前腕、骨盤・下肢の倒れ、股関節の外転制限に対して

 ここで話す姿勢とは、姿勢管理のポジショニングというよりも、体を動かすために姿勢のとり方と言った方がよいでしょう。背臥位というのは、変形がない場合には床にぴったりとくっつけて寝ることのできる姿勢なのですが、変形のある場合には不安定になります。側弯があり、腰椎の前弯のある場合を考えてみます。股関節と膝関節を屈曲させて、膝の下に三角のクッションを置くとよいです。このことによって、側弯に対して姿勢が固定できますし、前弯が、減少します。この、クッションは大きさがその子どもにあっているとよいです。というのは、できるだけ足の裏が床についていることによって、下肢が安定するようにするためです。枕も、頭の位置が反りすぎず屈曲しすぎないその子に合った高さ、材質が必要です。

 どこから動かすかは、その子どもによります。側弯があると肩甲骨の位置もずれてきています。左右の肩甲骨を動く方向から動く範囲で動かすとよいでしょう。特に側弯の凸側は肩甲骨が首に近づいてしまっていますので、引き離すように動かすのですが、最初から離そうとするよりは、近づく方向でもよいから動く方向へ動かすのがよいでしょう。骨盤は、前弯があると動きにくいので先ほどクッションを膝の下に入れたのですが、動かすときはいったんとって、股関節と膝をしっかり曲げながら前弯を直していくのですが、それでも動きにくいことがあります。そのような時は、最初、前弯を強める方向へ腰を持ち上げて重力でゆっくり落とすことを行って緩めるとよいでしょう。そして回旋の動きを入れていきます。このとき側弯の側を引くように骨盤を持ち上げます。側弯の凸側は、肋骨と肋骨の間が伸びて動きにくくなっているので、ほぐすように動かします。一つのところが緩むと次も緩みやすくなるので、その効果を確かめながら行うとよいでしょう。従って、一度行ったところを他のところを行ってからもう一度行ってもよいでしょう。

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