120901

上野台地を歩く(3)----日暮里〜上野 (谷根千の中核散歩)

日暮里から上野に向う散歩ルートは4本。台地上部の谷中霊園と諏訪台道り(初音の道)、台地下の六阿弥陀通りと、よみせ道り→へび道となる。
不忍道りと根津神社を加えれば、ここは「谷根千」の中心部。時間を忘れて楽しめる。


まずメインの、諏訪台道り延長の初音の道へ。
名物の煎餅屋が二軒----「谷中せんべい」と「都せんべい」がある。後者は路地裏(初音小路)でひっそり手焼していて、堅焼き煎餅は推薦もの。

尚。谷中霊園の側に、洒落た洋菓子店「Inamura」が最近出店(従来店は谷中霊園入口)、谷中マダム?がよく屯している。↓

象牙細工店や猫グッズ専門店などを素見して歩くと、右手に昔ながらの佇まいの「錻力店」が目に入る。戦前ではお馴染みの「ブリキ屋」さん、貴重な風景だ。近くの「朝倉彫像館」は長い間修復工事中。

(ブリキ店)

(朝倉彫像館完成予想図)

通りの中程に、かっての谷中情報発信場所「谷中学校」の旧い家屋が建っている。その近くの「観音寺築地塀」は登録文化財に指定されており、「谷中学校」と共に台東区の「まちかど賞」を受けている。

(谷中学校)

(観音寺築地塀)----登録有形文化財

築地塀先の長安寺には、珍しい「板碑」があり、「狩野芳崖墓」と共に台東区登載文化財に指定されている。
その先には、蔵をギャラリーとして活用している登録有形文化財の「スペース小倉」が異彩を放っている。

(スペース小倉)----登録有形文化財

(長安寺の板碑)

←(寺町美術館)

団子坂通りにぶつかる手前に、可愛らしいミニ美術館「寺町美術館」と、江戸情緒を残す「絵馬屋」が、この「通り」を締めくくっている。

(絵馬屋)→


台地の頂点に広がる「谷中霊園」の中も面白い。最近は墓所地図なども配布されていて、著名人などの墓所巡りが増えている。中でもメインは「徳川慶喜墓所」。変わり種はニコライ堂で知られる「ニコライ墓所」。
団子坂道りからサクラ道りに入る際に、登録有形文化財に指定されている「花重」も一見の価値あり。
寛永寺に面した霊園入口には、「Inamura」の本店がある。

(徳川慶喜墓所)

(ニコライ墓所)

(Inamura 谷中本店)

(花重)----登録有形文化財


台地中腹の六阿弥陀道りには「岡倉天心記念堂」がある。谷中祭りなどのときは、天心像が開帳される。

防災広場の「谷中コミュニティ」を過ぎて団子坂道りに出ると、谷中名物穴子寿司の「乃池」。主人は菊人形などの菊付けでも有名。

(乃池寿司)

(乃池寿司のショーウインドー)

← 野池氏菊付けの、江戸谷中菊人形「おせん」。
10月の「谷中菊祭り」には大円寺境内に出展され、人々で賑あう。

(円朝祭)

大円寺のすぐ先の「全正庵」は、山岡鉄舟や三遊亭円朝の墓所で有名。
毎年8月には落語家が集結して「円朝祭」が賑やかに行われる。------------------- →

円朝は幽霊画の収集家としも有名だが、この祭りの期間中は画が公開される。観てみたが--------やはり、気味が悪い。


よみせ道りには、10円饅頭で名を売った「福丸」、「谷中珈琲」などがあるが、珍しいのは(有)旭プロセス製版の「鋸屋根」。現在は工場として使われていないが、都内23区で唯一残っている貴重な風景だ。

(10円饅頭開祖店)

(鋸屋根)

(指人形笑吉)

← 団子坂道りに出る手前の路地奥に、「指人形笑吉」の工房兼ミニ演芸場がある。露木氏が製作する指人形達の演技が可笑しくて楽しい。一見の価値あり。

(喫茶乱歩)→

団子坂を越えると、よみせ道りは「へび道」の俗称に変わる。
かっての藍染川に「琵琶橋」がここに架かっていたようだが、いまではくねくね曲がった道に変身。

その入口に一寸気になる喫茶店「乱歩」が眼を惹く。下町探偵もののTVドラマにも使われた、古色騒然の内部などの探訪も面白い。


(鷹匠)

へび道を歩き、根津神社から台地に向って伸びる「藍染大道り」を渡った先に、隠れた名蕎麦屋「鷹匠」がある。正午から6時まで。
隣が「丁子屋」。戦前にタイムスリップ。

(丁子屋)→

藍染大道りを登るとTV でよく紹介された外人専門旅館「澤の屋」がある。朝などは谷中探検の外人さんがうろうろ。
坂を登りきると、谷中小学校からの道に合流し、「大名時計博物館」などの江戸時代もどきな風情が残る一画が広がる

(澤の屋)

(大名時計)

江戸時代の寺町が苔むして残ったような谷中一丁目あたりは、じっくり探索したらきりがない。その中で何故か大きな「ヒマラヤ杉」が立ちはだかっている。
再開発が噂されているので、あと何時までの寿命なのだろうか?
近くには日本芸術院の建物がひっそりと------。

(日本芸術院)

(jマラヤ杉)

最も谷中らしいここ一丁目周辺は、寺の間や中を路地が上り下りし、古井戸などを懐かしんでいる内に「千代の富士像」などに遭遇したりなど(玉林寺)、不思議な空間が漂っている。
是非残したい風景だ。