簿記2級の勉強(その1) 簿記3級で勉強出来なかった範囲をこれからチャレンジする!
現金預金の取引 有価証券の取引 その他債券と債務の取引
1.現金預金の取引
1−1.銀行勘定調査表
会社の当座預金勘定と銀行の当座預金残高証明書の残高が一致しない事が有り、その原因を明らかにする
為に、銀行勘定調査表を作成する。
(1)残高不一致の原因(時間的なズレが主な原因)
・銀行では引出の記帳を実施したが、会社では引出の記帳をしていない。
・銀行では預入れの記帳を実施したが、会社では預入れの記帳をしていない。
・会社では引出の記帳をしたが、銀行では引出の記帳をしていない。
・会社では預入れの記帳をしたが、銀行では預入れの記帳をしていない。
(2)銀行勘定調整表の形式(3種類有る)
・銀行の当座預金残高証明書の残高からスタートして、加減算し、会社の当座預金勘定の残高に合わせる。
・会社の当座預金勘定の残高からスタートして、加減算し、銀行の当座預金残高証明書の残高に合わせる。
・銀行の当座預金残高証明書の残高と会社の当座預金勘定の残高の両方からスタートして、加減算し、両
方の残高を一致させる。
(例:銀行の当座預金残高証明書からスタート)
銀行勘定調整表
平成12年3月31日
当座預金残高証明書残高 725,000
加算:当座借越利息未記帳 12,000
未預入れ小切手
M商店 30,000
Y商店 50,000 92,000
合計 817,000
減算:振込み未記帳
A商店 65,000
振出小切手未払い分
I商店渡し分 50,000
K商店渡し分 40,000 155,000
当座預金勘定残高 662,000
・当座預金残高証明書の残高を加減算し、当座預金勘定残高に合わせる。
・当座借越の利息は、当店の当座預金勘定に未記帳の為、銀行の当座預金残高証明書の残高に加算。
・売掛金の振込みは、当店の当座預金勘定に未記帳の為、銀行の当座預金残高証明書の残高から減算。
・振出した小切手は、当店の当座預金勘定に減少記入しているので、銀行の残高証明書の残高を減算。
・受取った小切手は、当店の当座預金勘定に増加記入しているので、銀行の残高証明書の残高に加算。
2.有価証券の取引
有価証券の取引では、3つのポイントが有る。
・国債や社債の購入、売却では、端数利息の計算が重要。
・株式の購入、売却では、1株当りの金額を平均法や先入先出し法で計算。
・貸付、借入、差入れ、預かりでは、帳簿価額か時価で記帳するかの区別を明記。
・評価替えでは、評価損だけを計上する。
(1)有価証券の購入
・取得減価:購入価額に購入手数料等の付随費用を加えた価格を取得減価とする。
・同銘柄の株式を異なった価額で購入した時は、平均法や先入れ先出し法により1株当りの価額を決定する。
・国債や社債を利払い日以外の日に購入した時は、前回の利払い日の翌日から購入日までの利息を売り手に
に支払う。 この支払利息を端数利息と云い、有価証券利息勘定の借方に記帳する。
また、利払い日に利息を受取った時は、有価証券利息勘定の貸方に記帳する。
これにより、買手は、購入日の翌日から次の利払い日までの利息を受取った事に成る。
(例) 利払い日<−−−−−− 買手が受取る利息 −−−−−−−−−>利払い日
|−−−−−−−−−−−|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−|
<−−−−−−−−−>購入日
売り手が支払う利息
(端数利息)
有価証券利息
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
売り手に支払う利息 |買手が受取る利息
|
額面1,000,000の社債を @99で購入し、代金と手数料5,000、端数利息25,000を
小切手を振出して支払った。
借方:有価証券 995,000 貸方:当座預金 1,020,000
有価証券利息 25,000
・端数利息計算例:額面10,000,000社債(期間10年、利率年7.3%、利払い日6月30日と
12月31日)を3月4日に@99で購入し、代金と手数料45,000及び端数利息を
加えた合計額を小切手を振出して支払った。
借方:有価証券 9,945,000 貸方:当座預金 10,071,000
有価証券利息 126,000
有価証券取得額=(10,000,000 x @99/@100) + 45,000
端数利息=10,000,000 x 0.073 x 63日/365日
(注:63日は前回利払い日12月31日の翌日1月1日から購入日の3月4日迄の日数)
(2)有価証券の売却
・有価証券の売却時は、帳簿価額と売却価額の差額は、有価証券売却益勘定または有価証券売却損勘定に記帳する。
・国債や社債を利払い日以外の日に売却した時は、端数利息を買手から受取る。
(例) 額面1,000,000の社債を@98で購入したものを、@99で売却して、代金と端数利息20,000
を現金で受取った。
借方:現金 1,010,000 貸方:有価証券 980,000
有価証券利息 20,000
有価証券売却益 10,000
(3)有価証券の貸付、借入
・有価証券を貸付けた貸主は、借方を貸付有価証券、貸方を有価証券として、帳簿価額で仕訳する。
・有価証券を借入れた借主は、借方を保管有価証券、貸方を借入有価証券として、時価で仕訳する。
(例) I商店は、F商店に株式1,000株を貸付けた。
株式の帳簿価額は1,500,000 時価は1,800,000
I商店 借方:貸付有価証券 1,500,000 貸方:有価証券 1,500,000
F商店 借方:保管有価証券 1,800,000 貸方:借入有価証券1,800,000
・有価証券の借主は、借入期間中に受取った有価証券の配当金や利息を、貸主に返還する必要が有る。
借主が配当金や利息を受取った場合は、預り金勘定に記入する。
貸主は借主から配当金や利息を受取った場合は、受取配当金勘定や受取利息勘定に記入する。
(例)F商店は借入れた株式に対する配当金100,000を現金で受け取った。
借方:現金 100,000 貸方:預り金 100,000
I商店は貸付けた株式に対する配当金100,000をF商店から現金で受取った。
借方:現金 100,000 貸方:受取配当金 100,000
・有価証券を貸付ける時に受取った貸付料は、有価証券貸付料勘定に記入する。
・有価証券を借入れる時に支払った借用料は、有価証券借用料勘定に記入する。
(例)I商店はF商店から貸付料10,000を現金で受取った。
借方:現金 10,000 貸方:有価証券貸付料 10,000
F商店はI商店に借用料10,000を現金で支払った。
借方:有価証券借用料 10,000 貸方:現金 10,000
(4)有価証券の差入れ、預かり
・現金の借入時に、担保として有価証券を差入れると、差入れた側は借方:差入有価証券、貸方:有価証券
として帳簿価額で仕訳する。
・有価証券を担保として預かった側は、借方:預かり有価証券見返、貸方:預かり有価証券として時価で仕訳する。
(例)O商店はH商店より現金1,500,000を借入れ、株式1,000株(帳簿価額:1,300,000、
時価:1,700,000)を担保として差入れた。
O商店 借方:差入有価証券 1,300,000 貸方:有価証券 1,300,000
H商店 借方:預り有価証券見返 1,700,000 貸方:預り有価証券1,700,000
3.その他の債券と債務の取引
(1)貸付金・借入金
・借用証書による金銭の貸付額を貸付金と云い、貸付金勘定(資産の勘定)に記入。
・借用書も代わりに約束手形を受取って金銭を貸付ける場合は、手形貸付金勘定(資産の勘定)に記入。
(例)K商店は借用証書を受取ってI商店に現金500,000を貸付けた。
借方:貸付金 500,000 貸方:現金 500,000
T商店は約束手形を受取ってK商店に現金800,000を貸付けた。
借方:手形貸付金 800,000 貸方:現金 800,000
(2)借入金・手形借入金
・借用証書による金銭の借入額を借入金と云い、借入金勘定(負債の勘定)に記入。
・借用書の代わりに約束手形を振出して金銭を借入れる場合は、手形借入金勘定(負債の勘定)に記入。
(例)I商店は借用書を渡して、K商店から現金500,000を借入れた。
借方:現金 500,000 貸方:借入金 500,000
K商店は約束手形を振出して、T商店から現金800,000を借入れた。
借方:現金 800,000 貸方:手形借入金 800,000
(3)未収金・未払金
・建物、備品、有価証券等、商品以外の売却によって生じた債権を未収金と云い、未収金勘定(資産の勘定)に記入。
・建物、備品、有価証券等、商品以外の購入によって生じた債務を未払金と云い、未払金勘定(負債の勘定)に記入。
(例)不要と成った備品(帳簿価額10,000)を売却し、代金10,000を月末に受取る事とした。
借方:未収金 10,000 貸方:備品 10,000
机、椅子を購入し、代金200,000を月末に支払う事とした。
借方:備品 200,000 貸方:未払金 200,000
(4)前払金・前受金
・商品を受け渡す前に、代金の一部(内金または手付金)を支払った時の債券を前払金と云い、
前払金勘定(資産の勘定)に記入。
・商品の受け渡しする前に、商品代金の一部を受取った時の債務を前受金と云い、前受金勘定(負債の勘定)に記入。
(例)N商店は、G商店に商品800,000を注文し、内金を100,000小切手を振出して支払った。
借方:前払金 100,000 貸方:当座預金 100,000
N商店は、上記商品を受取り、代金は内金を差引き残額は掛けとした。
借方:仕入 800,000 貸方:前払金 100,000
買掛金 700,000
G商店はN商店から、商品800,000の注文を受け、内金の同店振出の小切手100,000を受取った。
借方:現金 100,000 貸方:前受金 100,000
G商店は、N商店に上記商品を引き渡し、代金は内金を差引き、残額は掛けとした。
借方:前受金 100,000 貸方:売上 800,000
売掛金 700,000
(5)立替金・預り金
・取引先に対して、一時的に金銭を立替払いした時の債権を立替金と云い、立替金勘定(資産の勘定)に記入。
・従業員に対する立替金は、取引先等と区別する為、従業員立替金勘定(資産の勘定)を用いる。
・取引先等から一時的に金銭を預かった時の債務を預り金と云い、預り金勘定(負債の勘定)に記入。
・従業員に対する預り金は、取引先と区別する為、従業員預り金勘定(負債の勘定)を用いる。
・給料から源泉徴収する所得税や健康保険料、厚生年金保険料等を差引いた時は、預り金勘定で記入するか、
または、所得税預り金勘定(負債の勘定)、社会保険料預り金勘定(負債の勘定)で記入する。
(例)Y商店負担の発送費用3,000を立替て現金で支払った。
借方:立替金 3,000 貸方:現金 3,000
従業員の生命保険料15,000を立替えて現金で支払った。
借方:従業員立替金 15,000 貸方:現金 15,000
本月分給料800,000から所得税80,000、社会保険料30,000、立替金50,000を差引き
残額を現金で支払った。
借方:給料 800,000 貸方:所得税預り金 80,000
社会保険料預り金 30,000
従業員立替金 50,000
現金 640,000
(6)仮払金・仮受金
・現金を支払ったが、相手勘定科目または金額が確定しない時は、仮払金勘定(資産の勘定)に記入。
後日、相手勘定科目または金額が確定した時、該当する勘定に振替える。
・現金を受取ったが、相手勘定科目または金額が確定しない時は、仮受金勘定(負債の勘定)に記入。
後日、相手勘定科目または金額が確定した時は、該当する勘定に振替える。
(例)従業員の出張に当って、旅費の概算額100,000を現金で支払った。
借方:仮払金 100,000 貸方:現金 100,000
従業員が出張から帰り旅費を精算し、残金15,000を現金で受取った。
借方:旅費 85,000 貸方:仮払金 100,000
現金 15,000
出張中の従業員から、当座預金に600,000の振込みが有ったが、内容が不明。
借方:当座預金 600,000 貸方:仮受金 600,000
従業員が出張から帰り、上記振込みは、売掛金の回収と分かった。
借方:仮受金 600,000 貸方:売掛金 600,000
(7)商品券・他店商品券
・商品券を発行した時は、後日、その商品券で商品を引き渡す義務が発生するので、商品券勘定(周匝の勘定)に記入。
後日商品券と引換えに商品を引渡した時は、借方商品券と貸方売上として仕訳ける。
・他店で発行した商品券を他店商品券と云い、他店商品券を受取った場合は、他店商品券勘定(資産の勘定)に記入。
後日、その商品券を発行した商店から代金を受取る事が出来る。
(例) 商品券を50,000発行し、代金は現金で受取った。
借方:現金 50,000 貸方:商品券 50,000
商品55,000を売渡し、代金の内50,000は商品券で、残金は現金で受取った。
借方:商品券 50,000 貸方:売上 55,000
現金 5,000
商品65,000を売渡し、他店の商品券60,000と現金5,000を受取った。
借方:他店商品券 60,000 貸方:売上 65,000
現金 5,000
上記商品券について、発行した商店から商品券と引換えに現金を受け取った。
借方:現金 60,000 貸方:他店商品券 60,000
(8)債務の保証
・他人の債務について、債務が返済出来ない時に、債務者に代わって支払う事を保証する事を債務の保証と云う。
債務の保証を行った時は、借方を保証債務見返、貸方を保証債務として仕訳ける。
(例)K商店の借入金800,000について、債務の保証を行った。
借方:保証債務見返 800,000 貸方:保証債務 800,000
先の借入金につき、完済した旨の連絡が有った。
借方:保証債務 800,000 貸方:保証債務見返 800,000
S商店の借入金500,000の債務保証を行った。
借方:保証債務見返 500,000 貸方:保証債務 500,000
先の借入金について、S商店が支払出来なく成った為、延滞利息5,000と共に小切手を振出して支払った。
借方:未収金 505,000 貸方:当座預金 505,000
保証債務 500,000 保証債務見返 500,000
T商店の依頼により、同店振出の約手300,000の債務保証を行った。
借方:債務保証見返 300,000 貸方:保証債務 300,000
先の約手につき、満期日に決済して旨の連絡が有った。
借方:保証債務 300,000 貸方:保証債務見返 300,000
上記約手が不渡りとなった場合は
借方:未収金 300,000 貸方:当座預金 300,000
保証債務 300,000 保証債務見返 300,000
注:未収金は、債務者が倒産して、回収不能が明確に成った時に、貸倒れ処理をする。