簿記の勉強(続き6) 第3編取引の記帳(その2) 第14章その他の債権・債務に関する記帳
色々な債権・債務が出現して、益々規則を覚える事が多く成って来た。
頭の記憶容量が充分に取れるか心配だが、とにかく規則を覚えるぞ。
金銭の貸し借り:借用書による場合=貸付金勘定(資産)と借入金勘定(負債)
約束手形による場合=手形貸付金勘定(資産)と手形借入金勘定(負債)
約束手形の振出:金銭の貸し借りの場合=手形貸付金勘定(資産)と手形借入金勘定(負債)
商品売買の場合=受取手形勘定(資産)と支払手形勘定(負債)
代金の未収・未払い:商品売買の場合=売掛金勘定(資産)と買掛金勘定(負債)
商品売買以外の場合=未収金勘定(資産)と未払金勘定(負債)
一時的な債権債務:勘定科目と金額が分かっている場合=立替金勘定(資産)と預り金勘定(負債)
勘定科目または金額が不明の場合=仮受金勘定(負債)と仮払金勘定(資産)
代金の一部受払い:内金の場合=前払金勘定(資産)と前受金勘定(負債)
手付金の場合=支払手付金勘定(資産)と受取手付金勘定(負債)
第14章その他の債権・債務に関する記帳
1.貸付金と借入金
(1)貸付金・借入金とは
借用証書による金銭の貸借によって生じた債権を貸付金と言い、債務を借入金と言う。
(2)貸付金に関する記帳のルール
貸付金に関する取引に付いては、貸付金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
@借用書によって金銭を貸付けた時は、貸付金勘定の借方に記入する。
A期日に成って貸付金の返済を受けた時は、貸付金勘定の貸方に記入する。
(3)借入金に関する記帳のルール
借入金に関する取引に付いては、借入金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@借用書によって金銭を借入れた時、借入金勘定の貸方に記入する。
A期日に成って借入金を返済した時は、借入金勘定の借方に記入する。
例: H商店 ーー現金100−−> O商店
<−−借用書ーーー
(借り)貸付金 100 (貸し)現金 100 (借り)現金 100 (貸し)借入金 100
−−借用書返却ーーーーー>
<−−現金 104返済ーー
(元金+利息)
(借り)現金 104 (貸し)貸付金 100 (借り)借入金 100 (貸し)現金 104
受取利息 4 支払利息 4
2.手形貸付金と手形借入金
(1)手形貸付金・手形借入金とは
約束手形を受取って金銭を貸付けた場合の債権を手形貸付金と言い、約束手形を振出して金銭を借入れた
場合の債務を手形借入金と言う。
(2)手形貸付金に関する記帳のルール(貸し手側の記帳)
手形貸付金に関する取引に付いては、手形貸付金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
@約束手形を受取って金銭を貸付けた時、手形貸付金勘定の借方に記入する。
A期日に成って手形貸付金の返済を受けた時、手形貸付金勘定の貸方に記入する。
(3)手形借入金に関する記帳のルール(借り手側の記帳)
手形借入金に関する取引に付いては、手形借入金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@約束手形を振出して金銭を借入れた時、手形借入金勘定の貸方に記入する。
A期日に成って手形借入金を返済した時、手形借入金勘定の借方に記入する。
例: K商店 ーー現金200ーーーーー−> O商店
<−−約束手形(200)ーーー
(借り)手形貸付金 200 (貸し)現金 200 (借り)現金 200 (貸し)手形借入金 200
−−約束手形(200)返却ーーーーー>
<−−現金 207返済ーーーーーーー
(元金+利息)
(借り)現金 207 (貸し)手形貸付金 200 (借り)手形借入金 200 (貸し)現金 207
受取利息 7 支払利息 7
注:金銭の貸付または借入の為に、約束手形の受取または振出は、手形貸付金勘定または手形借入金勘定を
用いる。 受取手形勘定または支払手形勘定は商品売買の場合に限る。
3.前払金と前受金
(1)前払金・前受金とは
商品の売買取引の際に、実際に商品を受け渡す前に商品代金の一部(これを内金と言う)を受け払いする事が
有る。 買手が商品代金を前払いした時に生じる債権を前払金と言い、売り手が商品代金を前受けした時に生
じる債務を前受金と言う。
(2)前払金に関する記帳のルール(買手側の記帳)
前払い金に関する取引に付いては、前払金(または前渡金)勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
@内金を支払った時は、前払金(または前渡金)勘定の借方に記入する。
A後日商品を仕入れた時、前払い金は商品代金の一部に当てられるので、前払金勘定の貸方に記入する。
(3)前受金に関する記帳のルール(売り手側の記帳)
前受け金に関する取引に付いては、前受金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@内金を受取った時は、前受金勘定の貸方に記入する。
A後日商品を売渡した時、前受け金は商品代金の一部に当てられるので、前受金勘定の借方に記入する。
例: K商店 ーー商品300注文ーーーーー−> F商店
−−内金(小切手60)ーーーー>
(借り)前払金 60 (貸し)当座預金 60 (借り)現金 60 (貸し)前受金 60
−−残額掛け(240)ーーーーー>
<−−商品 300 売渡しーーー
(借り)仕入 300 (貸し)前払金 60 (借り)前受金 60 (貸し)売上 300
買掛金 240 売掛金 240
注:商品売買の契約を確実にする為、売り手と買手の間で手付金を受け払いする事が有る。
この場合、手付金を支払った側では支払手付金勘定(資産の勘定)に、
受取った側では受取手付金勘定(負債の勘定)を設けて記帳する。
手付金の受け払いと、前払い金・前受け金の勘定を分けて記帳する。
4.未収金と未払金
(1)未収金・未払金とは
備品や不要品の売却等、日常の主な営業活動以外の取引(商品売買取引以外)から生じた一時的な債権を、
未収金と言い、一時的な債務を未払金と言う。
(2)未収金に関する記帳のルール(売り手側の記帳)
未収金に関する取引に付いては、未収金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
@未収金が生じた時、未収金勘定の借方に記入する。
A後日未収金を回収した時、未収金勘定の貸方に記入する。
例:不要品を2000で売却して、代金は月末に受取る事とした。
売渡し時 (借り)未収金 2000 (貸し) 雑益 2000
回収時 (借り)現金 2000 (貸し)未収金 2000
(3)未払金に関する記帳のルール(買手側の記帳)
未払い金に関する取引に付いては、未払金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@未払い金が生じた時、未払金勘定の貸方に記入する。
A後日未払い金を支払った時、未払金勘定の借方に記入する。
例:営業用の金庫を250で購入して、代金は月末に支払う事とした。
購入時 (借り)備品 250 (貸し)未払金 250
支払時 (借り)未払金 250 (貸し)現金 250
注:商品売買取引以外の代金の未収・未払いは、未収金勘定・未払金勘定を用いて記帳する。
商品売買取引の代金の未収・未払いは、売掛金勘定・買掛金勘定を用いて記帳する。
5.立替金と預り金
(1)立替金・預り金とは
企業が、従業員や取引先の債務を一時的に立て替え払いする事を立替金と言う。
企業が、従業員や取引先から現金等を一時的に預かる事を預り金と言う。
(2)立替金に関する記帳のルール
立替金に関する取引に付いては、立替金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
特に、従業員に対する立替金に付いては、従業員立替金勘定(資産の勘定)を設けて取引先に対する立替金
と区別して記帳する。
@取引先に対する立替金が生じた時、立替金勘定の借方に記入する。
A従業員に対する立替金が生じた時、従業員立替金勘定の借方に記入する。
B後日立替金を回収した時、立替金勘定または従業員立替金勘定の貸方に記入する。
例:従業員A氏の借入金50を現金で立替払いし、後日現金で返済を受けた
立替時 (借り)従業員立替金 50 (貸し)現金 50
返済時 (借り)現金 50 (貸し)従業員立替金 50
(3)預り金に関する記帳のルール
預り金に関する取引に付いては、預り金勘定(負債の勘定)を設けて記帳する。
特に、従業員からの預り金に付いては、従業員預り金勘定(負債の勘定)を設けて取引先からの預り金と区別
して記帳する。
また、従業員に給料を支払う際に源泉徴収する所得税は、所得税預り金勘定(負債の勘定)を設けて記帳する。
@預り金が生じた時、預り金勘定の貸方に記入する。
A従業員からの預り金が生じた時、従業員預り金勘定の貸方に記入する。
B従業員の給料から源泉徴収した所得税は、所得税預り金勘定の貸方に記入する。
C後日、預り金の返済や所得税の支払等を行った時、預り金勘定・従業員預り金勘定・所得税預り金勘定の
借方に記入する。
例:従業員A氏の現金50を預かった (借り)現金 50 (貸し)従業員預り金 50
従業員A氏から預かった50を半金した (借り)従業員預り金 50 (貸し)現金 50
給料680から所得税20を源泉徴収した (借り)給料 680 (貸し)所得税預り金 20
現金 660
6.仮払金と仮受金
(1)仮払金・仮受金とは
現金等の支出は有ったが、それを記入する勘定科目または金額が未確定の債権を仮払金と言う。
反対に、現金等の収入は有ったが、それを記入する勘定科目または金額が未確定の債務を仮受金と言う。
(2)仮払金に関する記帳のルール
仮払金に関する取引に付いては、仮払金勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
@仮払金が生じた時、仮払金勘定の借方に記入する。
A後日記入する勘定科目または金額が確定した時は、仮払金勘定の貸方に記入する。
例:従業員A氏の出張に際して旅費として50現金で前渡した
(借り)仮払金 50 (貸し)現金 50 −−−−>勘定科目は旅費で有るが金額が未確定
A氏が帰社後、旅費の精算を行い、残額2を現金で受取った
(借り)現金 2 (貸し)仮払金 50 −−−−−>金額が確定し、残金の現金と旅費で記帳
旅費 48
(3)仮受金に関する記帳のルール
仮受金に関する取引に付いては、仮受金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@仮受金が生じた時、仮受金勘定の貸方に記入する。
A後日、勘定科目または金額が確定した時、仮受金勘定の借方に記入する。
例:得意先から180が当座預金に振込まれたが内容が不明
(借り)当座預金 180 (貸し)仮受金勘定 180 −−−>金額は明確だが勘定科目が未確定
後日、上記金額は売掛金の回収分で有る事が判明
(借り)仮受金 180 (貸し)売掛金 180 −−−>勘定科目が売掛金に確定
7.商品券
(1)商品券とは
商品券は、百貨店や小売店が現金と引き換えに発行するもので、これを持参した顧客に対して、その額面と
同額の商品を売渡す事に成っている。
(2)商品券に関する記帳のルール
商品券に関する取引に付いては、商品券勘定(負債の勘定)を用いて記帳する。
@商品券を発行した時は、後日その商品券と引換えに商品を売渡す債務が生じるので商品券勘定の貸方に
記入する。
A商品券によって商品を売渡した時、商品券勘定の借方に記入する。
例:商品券2000を発行し、代金は現金で受取った
(借り)現金 2000 (貸し)商品券 2000
商品2500を売渡し、代金の内2000は商品券で受取、残金は現金で受取った
(借り)商品券 2000 (貸し)売上 2500
現金 500