簿記の勉強(続き7) 第15章有価証券に関する取引 第16章固定資産に関する記帳
第17章営業費に関する記帳 第18章個人企業の資本に関する記帳
第19章個人企業の税金に関する記帳
有価証券勘定(資産):一時的に所有(簿記では1年以内の期間)する目的で有価証券を売買する時に用いる。
固定資産:営業活動の為、1年以上長期に亙って所有する資産(建物・備品・車輛・土地)
備品:1年以上使用可能で、一定額以上(100,000)のもの
消耗品費勘定:使用期間が1年未満で一定額未満(100,000)のもの
流動資産:売掛・商品等短期間に現金に成る資産と現金、当座預金等
営業費勘定:費用項目の明細は、別途営業費内訳帳で各口座を設けて記帳する。
資本金:元入高・追加元入高、当期純利益を貸方に、引出額、当期純損失を借方に記帳
引出金:店の現金や商品を事業主が私用で使った場合、引出金勘定の借方に記帳し、
決算時に資本金勘定に振替える
国税:所得税・印紙税
地方税:住民税・事業税・固定資産税
費用として計上出来る税金 :事業税・固定資産税・印紙税
費用として計上出来ない税金:所得税・住民税 -->資本の引出または個人の家計から納付
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第15章有価証券に関する記帳
(1)有価証券とは
簿記では公債・社債や株式等を有価証券として扱う。
・公債:国または地方公共団体が、財政上の収入を補う為に発行する債券で、国債と地方債が有る。
公債の所有者は国または地方公共団体から、定期的に利息を受取る。
・社債:株式会社が長期の資金を借りる為に発行する債券で、社債の所有者は株式会社から定期的に
利息を受ける。
・株式:株式会社が資本を調達する為に発行する株券で、株式の所有者(株主)は株式会社から配当金
を受取る。
(2)有価証券を取得した時の記帳のルール
企業では、営業資金に余裕が生じた時、一時的に所有する(簿記では一時的と言った場合は1年以内の
期間を言う)目的で、有価証券を買い入れる事が有る。
企業が有価証券を取得した時は、有価証券勘定(資産の勘定)を用いて記帳する。
①取得原価で有価証券勘定の借方に記入する。
②取得原価は、買入価格に買入手数料等の付随費用を加えた価格で有る。(帳簿価格と言う)
例:A商事の額面1,000,000の社債を@97で買入代金は小切手を振出して支払った
(額面金額@100を@97で買入れたので 1,000,000×@97÷@100=970,000)
(借り)有価証券 970,000 (貸し)当座預金 970,000
S商事の株式1000株(額面@50)を@60で買入れ代金は買入手数料7,000と共に小切手で支払
@60×1000(買入価格)+7000(買入手数料)=67000(取得原価)
(借り)有価証券 67,000 (貸し)当座預金 67,000
(3)有価証券を売却した時の記帳のルール
①帳簿価格で有価証券の貸方に記入する。
②売却価格が帳簿価格よりも高い時は(売却益が出た時)、その差額を有価証券売却益勘定
(収益の勘定)の貸方に記入する。
③売却価格が帳簿価格よりも低い時は(売却損が出た時)、その差額を有価証券売却損勘定
(費用の勘定)の借方に記入する。
例:A商事の社債@97で購入したものを@98で売却し、代金は現金で受取った
980,000(売却価格)-970,000(帳簿価格)=10,000(売却益)
(借り)現金 980,000 (貸し)有価証券 970,000
有価証券売却益 10,000
S商事の株式@60で購入したものを@59で売却し、代金は現金で受取った
67,000(帳簿価格)-59,000(売却価格)=8,000(売却損)
(借り)現金 59,000 (貸し)有価証券 67,000
有価証券売却損 8,000
第16章固定資産に関する記帳
1.固定資産とは
企業が営業活動の為に使用する目的で、1年以上の長期に亙って所有する資産を固定資産と言う。
(固定資産に対して、売掛金や商品等短期間に現金に成る資産及び現金・当座預金等は流動資産と言う)
固定資産には、建物・備品・車輛運搬具・土地等が有る。
・建物:店舗・事務所・倉庫等の営業用の建物
・備品:事務機器、事務用の机や椅子、事務所のエアコン、商品陳列ケース、金庫等
(1年以上使用可能で、一定額以上(税法では取得価格100,000以上)のものを備品と言い、
一定額未満のものに付いては、消耗品勘定で処理する)
・車輛運搬具:営業用のトラック、乗用車、オートバイ等
・土地:店舗や事務所、倉庫等の敷地
2.固定資産の取得(買入)に関する記帳のルール
固定資産を取得した時は、固定資産毎に設けられた勘定を用いて記帳する。
①取得原価で、固定資産のそれぞれの勘定の借方に記入する。
②取得原価は、買入価格と付随費用(買入手数料、登記料、据付費用、引取運賃、整地費用等)を
加えた価格で有る。
例:営業用建物を5,000で買入れ、代金は買入手数量680と共に小切手を振出して支払った
(借り)建物 5,680 (貸し)当座預金 5,680
エアコンを500で買入れ、代金は据付費用30と共に小切手を振出して支払った
(借り)備品 530 (貸し)当座預金 530
営業用の乗用車を1,200で買入れ、代金は小切手を振出して支払った
(借り)車両運搬具 1,200 (貸し)当座預金 1,200
店舗用に土地を買入れ代金15,000を買入手数料等の諸費用700と共に小切手を振出して支払った
(借り)土地 15,700 (貸し)当座預金 15,700
注:建物・備品・車輛運搬具等の修理の為に要した費用は、修繕費勘定(費用の勘定)で処理する。
3.固定資産を売却した時の記帳のルール
①帳簿価格(取得価格から原価償却累計額を差引いた残額)で、各々の固定資産勘定の貸方に記入。
②売却価格が帳簿価格より高い時(売却益)、その差額を固定資産売却益勘定(収益勘定)の貸方に記入。
③売却価格が帳簿価格より低い時(売却損)、その差額を固定資産売却損勘定(費用勘定)の借方に記入。
例:帳簿価格2,500の建物を2,000で売却し、代金は小切手で受取り直ちに当座預金に預入れた。
(借り)当座預金 2,000 (貸し)建物 2,500
固定資産売却損 500
4.固定資産台帳
建物・備品などの明細を記録する補助簿として、固定資産台帳を用いる。
固定資産台帳には、資産の種類別に口座を設けて、その取得価格・原価償却費・現在高を記入して管理する。
例: 建物台帳
所在地 東京都足立区綾瀬 耐用年数 20年
用 途 店舗 償却方法 定額法
登録番号 1234 残存価格 取得価格の10%
-----------------------------------------
年月日 |摘 要 |取得原価 |原価償却費 |現在高 |備考
1月1日 |購入小切手払い|1,500,000 | |1,500,000|
12月31日|原価償却費 | | 67,500 |1,432,500|
第17章営業費に関する記帳
(1)営業費とは
営業活動に為に支払われる費用を営業費と言う。
営業費は、商品の販売に関係して支出される販売費と、企業全体の管理活動に関係して支出される
一般管理費に大別される。
・販売費:給料 広告料 発送費 交通費 通信費 等
・一般管理費:支払家賃 保険料 消耗品費 修繕費 水道光熱費 雑費 等
注:費用には、この他支払利息、割引料、雑損等が有るが、これらは営業活動によって生じる費用で無い
為、営業外費用として営業費には含めない。
(2)営業費に関する記帳のルール
営業費に関する取引の記帳には二つの記帳方法が有る。
①総勘定元帳に給料勘定、広告料勘定、発送費勘定等、営業費に属する費用について、個別に
勘定を設けて記帳する方法。
②総勘定元帳に、営業費勘定を一つだけ設けて、営業費に関する取引は全て営業費勘定に記帳し、
同時にその内訳や明細を補助簿である営業費内訳帳に記帳する方法。
例:営業費勘定 (借り)営業費 8,500 (貸し)現金 8,500
総勘定元帳 営業費内訳帳
営業費 交通費
---------------- -------------------ーー-
5/4 現金 8,500| ーーーーーー| 年月日|摘 要 |金額 |合計
| --------------------ーー
|ー> 5/4 |バス回数券 | 3,000 | 3,000
|
| 通信費
| ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
|ー> 5/4 |切手、テレカ | 4,500 | 4,500
|
| 消耗品
| ----------------------
|-> 5/4 |帳簿、ボールペン|1,000 | 1,000
注:営業費勘定の残高と営業費内訳帳の各勘定口座の残高の合計額は一致する。
第18章個人企業の資本に関する記帳
1.個人企業の資本の増加・減少
個人企業に於ける資本の増加または減少をもたらす取引は、資本金勘定に記帳する。
(減少) 資 本 金 (増加)
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開業後の資本の引き出し(引出高)|開業時の元入れ(出資) (元入高)
|
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---------------ー|
決算時の当期純損失の振替(純損失)|
|-------------------
|開業後の追加元入(追加出資) (追加元入高)
|
----------------|ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
|決算時の当期純利益の振替 (当期純利益)
|
|--------------------
(1)資本の追加元入に関する記帳のルール
開業後、事業主が再び元入する事を、資本の追加元入(追加出資)と言う。
資本の追加元入をした時は、資本金勘定の貸方に記入する。
例:事業主が事業拡張の為、750を追加元入した。 (借り)現金 750 (貸し)資本金 750
(2)資本の引出に関する取引の記帳のルール
事業主が、私用の為に店の現金や商品を使う事(生活費の為現金を支出したり、商品を消費する場合、
費用として認められない税金の支払)を資本の引出と言う。
資本の引出をした時は、資本金勘定の借方に記入する。
例:事業主が私用の為現金100を引き出した (借り)資本金 100 (貸し)現金 100
2.引出勘定を用いた記帳
資本の引出が行われた時、資本金勘定でなく、引出金勘定を用いて記帳する方法も有る。
引出が行われた都度、引出金勘定に記入する事で、一会計期間の引出金の合計額が容易に知る事が出来る。
①資本の引出をした時は、引出金勘定の借方に記入する。
②期末に引出勘定の借方残高を、資本金勘定の借方に振替える。(引出金の整理といい決算整理事項の一つ)
例:事業主が店の現金30を私用の為、引出した (借り)引出金 30 (貸し)現金 30
事業主が原価50の商品を私用の為、引出した (借り)引出金 50 (貸し)仕入 50
決算の為、引出金勘定残高80を資本金勘定に振替た (借り)資本金 80 (貸し)引出金 80
第19章個人企業の税金に関する記帳
1.個人企業の税金
個人企業の主な税金を、国に納付する国税と地方公共団体に納付する地方税に大別出来る
①国税:所得税、印紙税等
②地方税:住民税、事業税、固定資産税等
注:この他に国税には消費税が有る。 消費税は原則として全ての物品の販売やサービスの提供に5%掛かる。
2.所得税
(1)所得税とは
所得税は、毎年1月1日から12月31日迄の1年間の経営活動によって生じた純利益を基に計算した
事業主の所得(事業所得と言う)に対して課せられる。
所得税は、事業主個人に課せられ、事業主の家計から支払う税金で有るから、これを店(個人企業)の
現金等で納付した時は、店の費用とする事は出来ず、資本の引出に成る。
また、所得税は、原則として前年の所得金額を基にして、第1期分を7月、第2期分を11月に予定納税を
行い、第3期分を翌年2月16日から3月15日の間で確定申告(当年度の所得税額から1期・2期分の予定
納税額を差引いて残額を納付する)を行う。
(2)所得税に関する記帳のルール
所得税を店の現金等で納付した時は、引出金勘定(または資本金勘定)の借方に記帳する。
例:7月に第1期分予定納税額70を店の現金で納付した (借り)引出金 70 (貸し)現金 70
11月に第2期分予定納税額70を店の現金で納付した (借り)引出金 70 (貸し)現金 70
3月確定申告をし、本年度所得税額200から予定納税分を差引いた残額60を店の現金で納付した
(借り)引出金 60 (貸し)現金 60
注:所得税を事業主個人の家計から納付した場合は、店(個人企業)の記帳の対象にはならないので
仕訳は不要。
3.住民税
(1)住民税とは
住民税は、道府県・市町村に住所を持つ個人等に課せられる税金で、道府県民税と市町村民税に
分けられる。 (東京都は、都民税、特別区の場合は特別区民税と言う)
住民税は所得税と同じに家計から支払う税金で有るから、これを店(個人企業)の現金で納付した時は、
資本の引出と成る。住民税の申告は所得税の確定申告を行っていれば必要無く、毎年6月、8月、10月と
翌年の1月の4期に分けて納付する事に成っている。
(2)住民税に関する記帳のルール
住民税を納付した時は、引出金勘定または資本金勘定の借方に記帳する。
例:住民税の第1期分30を店の現金で納付した (借り)引出金 30 (貸し)現金 30
4.事業税
(1)事業税とは
事業税は、事業を営んで利益を上げた個人企業に課せられる税金である。 税法上、店(個人企業)の費用
として計上する事が認められている。
事業税は、8月と11月の2期に分けて納付する。
(2)事業税に関する記帳のルール
事業税を納付した時は、租税公課勘定(費用の勘定)または事業税勘定(費用の勘定)の借方に記帳する。
例:事業税の第1期分40を現金で納付した (借り)租税公課 40 (貸し)現金 40
または(借り)事業税 40 (貸し)現金 40
5.固定資産税
(1)固定資産税とは
固定資産は、土地・建物等の固定資産の1月1日現在の所有者に課せられる税金で、その土地や建物等を、
店(個人企業)の経営活動の為に所有しているので有れば、費用として計上する事が認められている。
固定資産は、4月、7月、12月と翌年の2月の4期に分けて納付する。
(2)固定資産に関する記帳のルール
固定資産を納付した時は、租税公課勘定(費用の勘定)または固定資産税勘定(費用の勘定)の借方に記入。
例:固定資産税の第1期分20を現金で納付した (借り)租税公課 20 (貸し)現金 20
または (借り)固定資産税 20 (貸し)現金 20
注:事業税や固定資産税は、地方公共団体の税務事務所から納税通知書が送られてくるので、受取った時点で
納税義務が発生するので未払金勘定(負債の勘定)を用いて記帳する方法も有る。
①固定資産税80の納税通知書を受取った (借り)租税公課 80 (貸し)未払税金 80
②第1期分の固定資産税20を現金で納付した (借り)未払税金 20 (貸し)現金 20
6.印紙税
(1)印紙税とは
印紙税は、売買契約書や領収書等の書類を作成したり、手形等を振出す時に課せられる税金で、費用
として計上する事が認められている。 印紙税は、収入印紙を購入し、書類や手形等に貼付・消印する事で
納付した事になる。
(2)印紙税に関する記帳のルール
収入印紙を購入した時、租税公課勘定(費用の勘定)または印紙税勘定(費用の勘定)の借方に記帳する。
例:郵便局で郵便切手2000と収入印紙500020現金で購入した
(借り)通信費 2000 (貸し)現金 7000
租税公課 5000
7.青色申告精度
企業が税務署の承認を受け、一定の帳簿を備え正しく損益の計算を行っている場合、青色の申告用紙を用いて
所得税の申告が出来る精度を、青色申告制度と言う。
青色申告を行っている企業には、作成した帳簿に不正や誤りが無い限り、企業が申告した納税額がそのまま認め
られる等の、税法上の特典が有る。