工業簿記の基礎(その6) 第十五章 標準原価計算
                 1.標準原価計算
                 2.標準原価の設定
                 3.原価差異の算定と分析
                 4.記帳法

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第15章 標準原価計算

1.標準原価計算

  ・標準原価計算は、全ての原価要素について、価格だけでなく、消費量をも、科学的に研究して、製品の標準原価を算定し、
   この標準原価と実際原価との差異分析を行って、原価管理に役立てるものである。
  ・標準原価は、当座標準原価と基準標準原価の二つに分ける事が出来る。
  ・当座標準原価とは、現在予期出来る生産条件の下で、当然発生するはずの原価であり、比較的短期間に達成可能な
   予定操業度(例えば予定作業時間、予定生産量等)、材料費の予定価格、労務費の予定賃率に基づいて設けられる。
   従って、これらの生産条件が変化すれば、直ちに改定される標準原価である。
  ・基準標準原価とは、実際原価の変動状況を測定する尺度として、比較的長期間に亘って固定された標準原価であり、
   比較的長期間の操業度、固定した材料費の価格や労務費の賃率、一定の作業能率に基づいて設けられる。
   従って、この標準原価は、製品の種類や生産方法等の様な経営の根本問題について、特別の変動が無い限りは改定されない。

2.標準原価の設定(当座標準原価の場合)

  ・標準原価の設定とは、製品単位当りの標準原価を予め決定する手続きである。
   その為には、各原価要素について標準を決定しなければならない。
  ・標準直接材料費、標準直接労務費、標準製造間接費は次の様にして求める。

    標準直接材料費 = 標準単価 X 標準直接材料消費量

    標準直接労務費 = 標準賃率 X 標準直接作業時間数

    標準製造間接費 = 標準製造間接費配賦率 X 製品単位当りの配賦基準の標準数値 (例えば標準直接作業時間数等)

  ・標準製造間接費配賦率は次の様にして求める。

                         一定期間における製造間接費の予定額
    標準製造間接費配賦率 = −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       一定期間における予定操業度(例えば直接作業時間)

  ・この様にして計算された原価要素別の製品単位当りの標準原価を集計すれば、標準製品原価が算定される事に成る。

3.原価差異の算定と分析

  ・標準原価と実際原価との差額、即ち原価差異は、直接材料費、直接労務費、製造間接費のそれぞれについて発生する。

 (1)直接材料費差異

    ・直接材料費差異は、標準原価による直接材料費と実際発生額との差異である。
     これには材料価格差異と材料数量差異があり、次の様に算出する。

      材料価格差異 = (実際単価 − 標準単価) X 実際消費量

      材料数量差異 = (実際消費量 − 標準消費量) X 標準単価

      または 

      直接材料費差異 = 標準単価 X 標準消費量 − 実際直接材料費
      

    (例) A材料の標準単価:@400  A材料の標準消費量:200Kg
        A材料の実際単価:@420  A材料の実際消費量:230Kg

           材料価格差異 = (@420−@400)X230Kg = 4,600

           材料数量差異 = (230Kg−200Kg)X@400 = 12,000

 (2)直接労務費差異

    ・直接労務費差異は、標準原価による直接労務費と、直接労務費の実際発生額との差額である。
     これはには賃率差異と作業時間差異が有り、次の様に算出する。

      賃率差異 = (実際賃率 − 標準賃率) X 実際作業時間数

      作業時間差異 = (実際作業時間数 − 標準作業時間数) X 標準賃率

      または

      直接労務費差異 = 標準賃率 X 標準作業時間 − 実際直接労務費 

    (例)B種類の工員の標準賃率:@90   B種類の工員の標準作業時間数:130時間
       B種類の工員の実際賃率:@92   B種類の工員の実際作業時間数:140時間

          賃率差異 = (@92−@90)X140時間 = 280

          作業時間差異 = (140時間ー130時間)X@90 = 900

 (3)製造間接費差異

    ・製造間接費差異は、製造間接費の標準額と実際発生額との差額であり、例えば次の様に算定する。

      製造間接費差異 = 実際製造間接費 − (標準間接費配賦率 X 実際発生額に対する標準作業時間数)

      または

      製造間接費差異 = 標準配賦率 X 標準配賦基準 − 実際製造間接費

    (例) 予算期間(1年)の標準製造間接費:4,800,000  同左標準作業時間数:96,000時間
        1月の実際製造間接費:430,000           同左実際作業時間数:8,600次間
        1月の実際生産高に対する標準作業時間数:8,500時間

          標準製造間接費配賦率=4,800,000/96,000時間=@50

          製造間接費差異=430,000−@50X8,500時間=5,000

4.記帳法

 (1)材料の払出の時

       借方:製造(標準額)      XX   / 貸方:素材(実際額)     XX
           材料価格差異      XX
           材料数量差異      XX

 (2)消費賃金の計算の時

       借方:製造(標準額)      XX  / 貸方:賃金(実際額)      XX
           賃率差異        XX 
           作業時間差異     XX

 (3)製造間接費の配賦の時

       借方:製造(標準額)      XX  /貸方:製造間接費(実際額)   XX
           製造間接費差異    XX



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