工業簿記の基礎(その5) 第十ニ章 製品の受入と払出
1.製品の受入
2.製品の払出
第十三章 工業簿記の決算
1.販売費及び一般管理費
2.決算の手続き
3.財務諸表
4.損益計算書
5.貸借対照表
6.製造原価報告書
7.精算表
第十四章 工場会計の独立
1.工場会計の独立
2.工場会計と本社会計との連携
3.取引の記帳法
4.財務諸表の合併
第12章 製品の受入と払出
1.製品の受入
・製品が完成すると、製造課では仕上り報告書(総合原価計算の場合)、または、完成指図書(個別原価計算の場合)を添えて製品を
製品係に引渡す。
製品係は、製品棚札(製品現品カードとも云う)に記入すると共に、仕上り報告書または完成指図書を原価計算係に回付する。
・原価計算係は、これによって原価計算表(総合原価計算の場合)または原価元帳(個別原価計算の場合)に完成の旨を記入し、
仕上り報告書または完成指図書に単価、金額を記入して会計係に回付する。
・会計係では、製品元帳に製品別受入の記入を行う。
尚、注文生産で製品完成と共に注文先へ発送される時でも、製品元帳には受入、払出の記入が行われる。
・製品元帳は、製品の種類別に口座を設けて、その増減及び残高について、数量、金額を記入する補助簿であって、形式、記入法は
材料元帳と同じである。
・会計係では、月末に、原価計算表(総合原価計算の場合)または原価計算係が原価元帳から作成する完成品原価月報(個別原価
計算の場合)の合計額によって、仕分けをして総勘定元帳に転記する。
(例)1ヶ月の製品の完成高は次の通りである。
A製品 180個 @1,430.00 B製品 100個 @1,056.00
借方:製品 363,000 / 貸方:製造 363,000
2.製品の払出
・製品を売渡す時、販売部は売上伝票を作り、これに日付、品名、数量、売価等を記入して、製品係に回付する。
・製品係はこれにより製品棚札に減少記入を行い、払出製品と共にこれを発送係に回付する。
・発送係は、製品発送と共に出荷伝票を作成し、販売部に回付する。
・販売部は、送状を作成し、製品売上帳と売掛金元帳に記入する。
・売上伝票は発送係から会計係に回付され、会計係はその都度製品元帳に払出の記入を行い、製品元帳の記入に基づいて売上伝票に
製造原価を記入する。 製品元帳の払出記入に付いては、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法等が有る。
・会計係は、月末に売上伝票を集計して、売上製品原価月報を作成し、これによって仕訳を通して、その製造原価の合計を、
総勘定元帳の製品勘定から売上原価勘定へ振替える。
また、製品売上帳から売上高を総勘定元帳の売上勘定に合計転記する。
(例)a:1ヶ月の売上高は次の通りであった。 内88,000は現金売り、残額は掛売である。
A製品 1,500個 @200.00 B製品 1,200個 @140.00
売上高=(1,500個X@200.00)+(1,200個X@140.00)468,000
借方:現金 88,000 / 貸方:売上 468,000
売掛金 380,000
b:上記売上品の製造単価は次の通りである。
A製品 @143.00 B製品 @105.00
製造原価=(1,500個X@143.00)+(1,200個X@105.00)=341,220
借方:売上原価 341,220 / 貸方:製品 341,220
第13章 工業簿記の決算
1.販売費及び一般管理費
・販売費とは、製品の販売に関して発生する費用であり、一般管理費とは、事業全体の管理に関して発生する費用である。
・販売費には、販売員給料手当、支払運賃、支払保管料、広告料、販売手数料等がある。
一般管理費には、役員給料手当、事務員給料手当、保険料、支払修繕費、事務用消耗品、通信交通費、光熱費、交際費、
地代家賃、減価償却費等がある。
・これらの発生額は、給料支払帳、経費票等を、費目別に販売費及び一般管理費集計表に集計する。
・販売費及び一般管理費は、総原価を計算する為に、販売直接費と、一般管理費及び販売間接費とに分けて、
販売直接費は売上品に賦課し、一般管理費及び販売間接費は売上品または製品に配賦する事もあるが、
普通は、月末に月次損益勘定に振替えられる。
2.決算の手続き
・決算とは、帳簿を締め切り、1期間の経営成績及び財務状態を明かにする手続きを云う。
製造業では、月次決算と年次決算(または年度決算)を行うのが普通である。
(1)月次決算
・月次決算とは、毎月末(原価計算期末)に、その月の損益を計算し、月末における財務状態を明かにする仮決算を云う。
これは、外部に公表する物では無く、内部的なものであり、年次決算の下準備として、または、経営成績を短期間に明らかにして、
経営を管理統制する為に行われる。
・月次損益を計算する為には、月次損益勘定を設けて、製品及び半製品(副産物、作業屑等を含む場合も有る)の売上高を貸方に
記入し、それらの売上原価と販売費及び一般管理費を借方に記入して、営業損益を計算する。
製品 売上原価
−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−
前月繰越|当月売上製品 −−−> 当月売上製品|振替高 −−|
−−−−| −−−−−−−−−−− |
当月 |−−−−−− |
完成品 |当月在庫高 |−−−−−−−−−−−|
−−−−−−−−−−− |
| 月次損益 売上
販売費及び一般管理費 | −−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−− |−>売上原価 | |当月売上高
支払高 | −−−−−−| |
または |振替高 −−−−−−−> 販管費 |売上高 <−−− 振替高 |
発生高 | | |
−−−−−−−−−−−− −−−−−−| |
当月営業利益| |
−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
(例)勘定残高 売上原価:347,000
売上 :528,000
販管費 :68,100
月次損益
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
売上原価 347,000 |売上 528,000
販管費 68,100 | /
営業利益 112,900 | /
−−−−−−| −−−−−−−−
528,000 | 528,000
======| ======
(2)年次決算
・年次決算(または年度決算)は、半年または1年の営業年度末に行う決算であり、その手続きは商業簿記の場合と同様である。
・年次損益を計算するには、月次損益勘定から毎月末に営業利益を決算損益(または略して損益)勘定の貸方に振替える。
更に、年度末に売上原価に賦課する原価差異及び営業外損益を振替えて、当営業年度の純損益を計算する。
原価差異 月次損益
−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−
差異 |振替高 −| 売上原価 |
−−−−−−−−−− | −−−−−−|
| 販管費 | 売上高
| −−−−−|
| |−−営業利益 |
| | −−−−−−−−−−−−
| |
| |−−−−−−−−−−|
| |
| 決算損益 |
営業外費用 | −−−−−−−−−−−−− |
−−−−−−−−− |−>原価差異 | |
支払高 | −−−−−−|営業利益 <−−−|
または |振替高 −−−> 営業外費用| 営業外収益
発生高 | −−−−−−|−−−−−− −−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−− 純利益 |営業外収益 <−−−−−−−− 振替高 |受取高
−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−
3.財務諸表
・製造業の財務諸表で最も特徴的なのは、商業簿記の財務諸表に、更に製造原価報告書が加わる事である。
4.損益計算書
・損益計算書は、企業の経営成績を明かにする為、1会計期間に発生した全ての収益と、これに対応する全ての費用とを
記載したものである。
株主総会に提出する損益計算書では、これを経常損益の部と特別損益の部に大別し、経常損益の部を更に営業損益の部と
営業外損益の部に区分して示す。(報告式損益計算書)
・売上原価は、製造業の場合には、期首製品棚卸高及び当期製品製造原価を記載し、その合計から期末製品棚卸高を控除する
形式で記載する。 当期製品製造原価の内訳は、製造原価報告書に記載する。
(例) XX工業株式会社
損益計算書
平成12年4月1日から平成12年9月30日まで
経常損益の部
営業損益の部
営業収益
純売上高
1.製品売上高 5,364,000
2.売上値引・戻り高 172,000 5,192,000
−−−−−−−
営業費用
T.売上原価
1.期首製品棚卸高 635,000
2.当期製品製造原価
3,912,700
−−−−−−−−
合 計 4,547,700
3.期末製品棚卸高 783,000 3,764,700
−−−−−−−− −−−−−−−
売上総利益 1,427,300
U.販売費及び一般管理費
1.販売員給料手当 120,000
2.販売員旅費 43,000
3.広告料 65,000
4.支払運賃
78,000
5.貸倒償却 10,000
6.役員給料手当 200,000
7.事務員給料手当
100,000
8.減価償却費
40,000
9.地代家賃 32,000
10.支払修繕費
50,000
11.事務用消耗品 84,000
12.通信交通費
36,000
13.雑費 17,000 875,000
−−−−−−−−− −−−−−−−−
営業利益 552,300
営業外損益の部
営業外収益
1.受取利息・割引料 57,000
2.有価証券利息 24,000
3.受取配当金
46,000
4.有価証券売却益
32,000
5.仕入割引 48,000 207,000
−−−−−−−−− −−−−−−−−
当期総利益 759,300
営業外費用
1.支払利息・割引料 52,800
2.社債利息 10,000
3.社債発行差金償却 5,000
4.創立費償却
20,000
5.有価証券売却損
13,000
6.有価証券評価損
15,000
7.売上割引 7,000 122,800
−−−−−−−− −−−−−−−
税引前当期利益 636,500
法人税等
243,000
−−−−−−−
当期利益 393,500
前記繰越利益 71,500
−−−−−−−
当期未処分利益 465,000
=======
*注:上記損益計算書の場合は、特別損益が無いので、経常利益がそのまま当期利益と成る。
尚、特別損益の部には、貸倒引当金戻入の様な前期損益の修正や、災害損失の様な異常に発生した
損益が記載される。
5.貸借対照表
・貸借対照法は、企業の財政状態を明かにする為、一定の時に保有する全ての資産、負債および資本を適当に区分、配列して、
記載したものである。
・貸借対照表の材料と仕掛品は、製造減価計算書の期末材料棚卸高と期末仕掛品棚卸高とにそれぞれ一致する。
また、総勘定元帳の製造勘定の残高は、貸借対照表に記載する時は仕掛品として示す。
(例)報告式貸借対照表
XX工業株式会社
貸借対照表
平成12年9月30日
資産の部
T.流動資産
1.現金預金 294,000
2.受取手形 283,000
貸倒引当金
4,000 279,000
−−−−−−
3.売掛金 267,000
貸倒引当金 6,000
261,000
−−−−−−
4.有価証券 189,000
5.製品 783,000
6.材料 430,000
7.仕掛品
114,000
8.前払費用 12,000
−−−−−−
流動資産合計 2,362,000
U.固定資産
(1)有形固定資産
1.建物 1,234,000
減価償却引当金 156,000 1,078,000
−−−−−−−−
2.機械装置 1,259,000
減価償却引当金
134,000
1,125,000
3.工具器具部品 352,000
減価償却引当金
28,000
324,000
−−−−−−−− −−−−−−−−
有形固定資産合計 2,527,000
(2)無形固定資産
1.特許権 120,000
−−−−−−−
無形固定資産合計 120,000
(3)投資
長期貸付金 230,000
−−−−−−−
投資合計 230,000
−−−−−−−−
固定資産合計 2,877,000
V.繰延資産
1.創立費 130,000
2.社債発行差金
40,000
−−−−−−−−−
繰延資産合計 170,000
−−−−−−−−
資産合計 5,409,000
========
負債の部
T.流動負債
1.支払手形 132,000
2.買掛金 153,000
3.短期借入金 100,000
4.未払金 22,000
5.納税引当金 243,000
6.未払費用
28,000
7.前受金 34,000
8.預り金 16,000
9.前受収益 10,000
−−−−−−−−
流動負債合計 738,000
U.固定負債
1.社債 450,000
2.長期借入金
250,000
−−−−−−−−
固定負債合計 700,000
V.引当金
1.修繕引当金 73,000
2.退職給与引当金 183,000
−−−−−−−
引当金合計 256,000
−−−−−−−−
負債合計 1,694,000
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資本の部
T.資本金 2,500,000
(会社が発行する株式総数 20,000株)
(発行済み株式の数 5,000株)
U.法定準備金
1.資本準備金 260,000
2.利益準備金 190,000
−−−−−−−−
法定準備金合計 450,000
V.剰余金
1.任意積立金 300,000
2.当期未処分利益
i 前期繰越利益 71,500
ii 当期利益
393,500 465,000
−−−−−− −−−−−−−−
剰余金合計 765,000
−−−−−−−
資本合計
3,715,000
−−−−−−−
負債及び資本合計 5,409,000
=======
6.製造減価報告書
・製造原価報告書は、1会計期間の製品製造原価の内訳を明細に報告するものである。
・製造原価報告書は、当期製造費用を材料費、労務費、経費の要素に区分して記載し、これに期首仕掛品棚卸高を加え、
これから期末仕掛品棚卸高を控除する形式で当期製品製造原価を記載する。
当期総製造費用 = 材料費 + 労務費 + 経費 −−> 製造勘定の借方
当期製品製造原価 = 当期総製造費 + 期首仕掛品棚卸高 − 期末仕掛品棚卸高 −−> 製造勘定の貸方完成分
(例) XX工業株式会社
製造原価報告書
平成12年4月1日から平成12年9月30日まで
T.材料費
1.期首材料棚卸高 300,000
2.当期材料仕入高 2,300,000
−−−−−−−−
合計 2,600,000
3.期末材料棚卸高 430,000
−−−−−−−−
当期材料費 2,170,000
U.労務費
1.基本給 890,000
2.諸手当・福利費 120,000
−−−−−−−−
当期労務費 1,010,000
V.経費
1.支払電力料 300,000
2.支払水道料 130,000
3.支払運賃
10,000
4.減価償却費 278,000
5.支払修繕費 20,000
6.租税公課
12,000
7.不動産賃貸料
5,000
8.保険料 23,000
9.通信交通費 7,000
10.雑費 6,000
−−−−−−−−−
当期経費 791,000
−−−−−−−−
当期総製造費用 3,971,000
期首仕掛品棚卸高
55,700
−−−−−−−−−
合計 4,026,700
期末仕掛品棚卸高
114,000
−−−−−−−−−
当期製品製造原価 3,912,700
=========
7.精算表
・決算に当っては、総勘定元帳の諸勘定を締切るのに先だって、決算結果の見通しを付ける為に、精算表を作成するのが普通である。
・精算表とは、決算手続きを1表の上で行う運算表で有る。
工業簿記の精算表の形式は、だいたい商業簿記の場合と同じであるが、製造業では当期製品の製造原価の計算が必要であるから、
製造原価(または製造勘定)欄を設ける。
・製造原価欄は製造原価に関係の有る項目、即ち材料費、労務費、経費及び期首、期末の仕掛品が記入され、製造原価報告書を
作成する資料と成る。 (勘定科目、試算表、整理記入、製造原価、損益計算書、貸借対照表の欄がある)
@材料勘定は、整理記入欄に棚卸高を貸借とも同額で記入する。
製造原価欄の借方に試算表欄の金額を、貸方に整理記入欄の貸方金額を記入する。
貸借対照表欄の借方に整理記入欄の借方金額を記入する。
A製造勘定は、整理記入欄に仕掛品の棚卸高を貸借とも同額で記入する。
製造原価欄の借方に試算表欄の金額を、貸方に整理記入欄の貸方の金額を記入する。
貸借対照表欄の借方に整理記入欄の借方の金額を記入する。
B製品勘定は、整理記入欄に棚卸高を貸借とも同額で記入する。
損益計算書欄の借方に試算表欄の金額を、貸方に整理記入欄の貸方の金額を記入する。
貸借対照表の借方に整理記入欄の借方の金額を記入する。
C賃金は、全額製造原価欄に記入する。
D広告料、事務用消耗品費、貸倒償却は全額販売費及び一般管理費勘定に振替える。
E給料、経費の内、販売費及び一般管理費に属するものは、整理記入欄においてそれぞれ販売費及び一般管理費に振替える。
尚、販売費及び一般管理費に属するものは、販売費及び一般管理費勘定に振替えないで、直接に損益計算書欄に移す方法も有る。
F給料、経費の内、販売費及び一般管理費勘定に振替えた残高をそれぞれ製造原価欄に記入する。
G製造原価欄において当期製品製造原価を算出する。 即ち、製造原価欄の借方残額は製造原価であるから、それを貸方に記入し、
同時に損益計算書欄の借方に移す。
H損益計算書欄と貸借対照表欄の記入は、商業簿記の場合と同様に行う。
第14章 工場会計の独立
1.工場会計の独立
・工場規模が大きく、経営組織がふくざつで、勘定科目の数も多い時は、本社と工場の独立の会計単位とする。
この様な会計制度を採る所を工場会計の独立と云う。
・工場会計を独立させた場合には、工場は、本社と独立して決算を行い、決算書評を作成する。
本社は、それらのものを合わせて企業全体の決算諸表を作成する。
この手続きは、商業簿記における支店会計の独立の場合と同様である。
2.工場会計と本社会計との連携
・工場会計を独立させる為には、工場に工場仕訳帳及び工場元帳を設け、工場における会計処理を独立して記帳する。
本社では、一般仕訳帳と一般元帳とを用いる事に成る。
・工場元帳と一般元帳とを、それぞれ独立して試算表を作成出来るようにする為に、両元帳にそれぞれ照合勘定を設ける。
即ち、工場元帳には本社勘定を、本社の一般元帳には工場勘定を設ける。
・工場元帳に設けられる勘定の範囲は、原則として製造活動に関する諸勘定で有るが、企業の事情によって多少異なる場合も有る。
3.取引の記帳法
(1)工場元帳を新たに設ける場合
・工場元帳を新たに設ける場合には、営業年度末に、一般元帳から工場元帳に移すべき勘定科目を選定し、本社では一般仕訳帳で
工場勘定を相手として仕訳し、工場では、工場仕訳帳で本社勘定を相手として仕訳ける。
(例)工場元帳を新設したので、次の勘定科目を一般元帳から工場元帳に移した。
素材:358,000 工場消耗品:74,200 製品:427,000 半製品:103,000 仕掛品:263,000
*本社の仕訳*
借方:工場 1,252,200 / 貸方:素材 385,00
工場消耗品 74,200
製品 427,000
半製品 103,000
製造 263,000
*工場の仕訳*
借方:素材 385,000 / 貸方:本社 1,252,200
工場消耗品 74,200
製品 427,000
半製品 103,000
製造 263,000
(2)その後における取引の記帳
・工場元帳が設けられた後の諸取引の記帳は、次の様に行う。
@本社だけに関係の有る取引は、一般仕訳帳、一般元帳に記入する。
A工場だけに関係の有る取引は、工場仕訳帳、工場元帳に記入する。
B本社、工場の両方に関係の有る取引は、本社、工場のそれぞれの仕訳帳、元帳に記入する。
この場合の相手勘定は工場勘定(本社側)或いは、本社勘定(工場側)とする。
・本社から工場へ材料を渡す時、及び工場から本社に製品を引渡す時の振替価格は、次の何れかによる。
@材料の取得原価または製品の製造原価をそのまま使用する。
A材料の取得原価または製品の製造原価に一定の割増(利益と見なす)をした価格をしようする。
この場合、工場で単独に損益計算を行う事が出来る。
(例)a:本社は材料136,000を掛買いして、工場に直送する。
*本社* 借方:工場 136,000 / 貸方:買掛金 136,000
*工場* 借方:材料 136,000 / 貸方:本社 136,000
b:工場は本月支給賃金118,000を本社へ報告する。 本社は、次の様に支給賃金総額から所得税その他を差引き、
現金102,780を工場に渡す。 工場ではこれを工員に支払う。
支払賃金額:118,000 控除額=所得税:5,740、健康保険料:9,480 正味支払賃金:102,780
*本社* 借方:工場 118,000 / 貸方:現金 102,780
所得税預り金 5,740
健康保険料 9,480
*工場* 借方:賃金 118,000 / 貸方:本社 118,000
c:工場は当月消費賃金124,000の内98,600は直接賃金、残額25,400は間接賃金として処理した。
*本社* 仕訳無し
*工場* 借方:製造 98,600 / 貸方:賃金 124,000
製造間接費 25,400
d:本社は期末に工場の建物について、原価償却費48,000を計上した。
*本社* 借方:工場 48,000 / 貸方:建物原価償却引当金 48,000
*工場* 借方:原価償却費 48,000 / 貸方:本社 48,000
e:本月完成製品原価は490,000であった。
*本社* 仕訳無し
*工場* 借方:製品 490,000 / 貸方:製造 490,000
f:工場は本社からの命令で、製品120,000を得意先O商店に発送した。
本社への振替価額は原価の10%増である。 本社はこれを168,000で掛売した。
*本社* 借方:売掛金 168,999 / 貸方:売上 168,000
借方:売上原価 132,000 / 貸方:工場 132,000
*工場* 借方:本社 132,000 / 貸方:製品 120,000
本社振替利益 12,000
4.財務諸表の合併
・工場が本社と独立して決算を行い、本社と工場の財務諸表を合併する時、注意しなければ成らない事は、次の通り。
@未達事項を整理する。
A内部利益は控除する。
・これらの事項は、商業簿記における本支店会計の場合と同様である。
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