★「ウソの記事を書いて褒められた新聞記者」
時は1940年、同盟国イタリアのベニト・ムッソリーニ首相の娘が来日した際、インタヴュー記事を書くべく各社群がったが娘は一言もしゃべらなかった。
翌日の新聞は写真だけで済ますもの、何にも触れずにおくもの等がほとんどの中で、朝日新聞のみデカデカと写真とインタヴュー記事をのせていた。
記者「日本の第一印象はいかがですか、特にお父上と離れて淋しくはありませんか?」
娘さん「あーっ、その反対です。初めてやって来た日本では各駅々へ着く度にベニトー、ベニトー(弁当、弁当)と祖母が父を呼ぶ様な声が聞こえ、淋しいどころかとても愉快でした」
翌日、朝日・朝刊にこの記事が載ってから各社の社会部では大騒ぎ、ある社では社会部長に呼ばれた記者が「あれは朝日のワタナベというヨタ記者が書いた捏造記事です」と言い訳すると、社会部長いわく「たわけ!たとえウソだとしても面白い!」
機転を利かせて社会面を沸かせた記者は、朝日の渡辺紳一郎さん、「ウソでもおもしろい」といってのけた部長は、毎日の阿部真之輔さん(当時、後にNHK会長)との事。
(この話は管理人が高校一年のとき、上級生の父親が東大新聞研究所の所長をされていてその方から聞いたものを記載したものです)
★「白人ウソつく、インディアンウソつかない」
アメリカの西部開拓時代、インディアンの酋長と騎兵隊の隊長が小旅行をした。
ある森を通過するときにインディアンが「大」の方をしたくなってしゃがみこんでいる。用をし終わった後、傍の広葉樹の葉っぱをちぎってお尻を拭きだした。
騎兵隊の隊長が見るとはなしに見ていると、キッと振り向いたインディアンと目が合ってしまった。
騎兵隊の隊長、バツが悪かったので「そんな葉っぱで拭いて大丈夫か?」とたずねると、インディアン答えていわく
「インディアン、クソつかない!!」
(ジミー時田の盟友、立川談志(戒名が「立川雲黒斎(ウンコクサイ)元祖家元居士」)の小話より)
もう一つ立川談志のマクラ話から
★昔、誘拐犯からソ連政府に電話が掛かってきた。
駆けつけたKGBに向かって脅している。
「プーチンを預かっている、百万ルーブル出せ、出さないとプーチンを生きたまま、そちらへ帰すぞ!」
★「アメリカンジョーク」
<アメリカの弁護士を揶揄した話です>
依頼人「助言をいただきたいのですが、100ドルしかありません。これで何とか2つの質問に答えてもらえませんか?」
弁護士「もちろん大丈夫ですよ。で、あとの一つの質問は?」
★「 豪華客船、船長の機転 」
豪華客船が遭難した。救命ボートは全部使い果たし、残る道は一刻も早く海へ飛び込んで、沈み行くであろう本船から離れ救命ボートによじ登るしか助かる手段はなさそうだと判断した時、船長の機転が生きてくる。
豪華客船ともなると人種も色々、効率の良い指示が大切だ。 そこで、
・ イギリス人の乗客に対しては 「紳士ならば、飛び込んでみなさい」
・ アメリカ人には 「今、飛び込むと、ヒーローになれますよ」
または 「保険が懸っているので、安心です」
・ フランス人には 「絶対に海へ飛び込まないでください。」
・ ドイツ人には 「船長の命令だ、規則で飛び込むことに決っている」
・ イタリア人には 「さっき美人が飛び込みました、今飛び込むともてますよ」
・ 北朝鮮の人には 「今が亡命のチャンスです」
・ 日本人には 「皆さん飛び込んでいます。あなたもどうですか」
日本人でも関西人には 「阪神が優勝しました」 (←そりゃないか!)
各国人の行動パターンを現わしていて言い得て妙とはこの事ですね?
A luxury cruise ship begins to sink. The captain wants everyone to jump into the sea. He uses different words for each nationality.
To American: If you jump, you will be a hero!
To English: If you're a gentleman, you will jump!
To Germans: Jumping is the rule of this ship!
To Italians: If you jump,women will Love you!
To French people: Don't jump!
To Japanese: Everyone else is jumping!
世界各国の国民性をからかう小話の定番に「無人島ジョーク」がある。
たとえば男2人と美女1人が無人島にたどり着けばどうなるか。
●それがスペイン人なら男2人が決闘し、勝者が女に求婚する
●アメリカ人なら女が1人の男と結婚し、すぐ離婚して別の男と再婚する。
●ドイツ人は1組の男女が結婚して、残りの男が戸籍係になる。
●フランス人なら男女1組は結婚し、もう1人の男は女と不倫をする。
●日本人はどちらの男も本社に電話してどうするか指示を仰ぐ
いつも引き合いに出される「豪華客船が沈没するときの船長の指示」と相まって、言い尽くされた
ジョークですが、「いい得て妙と」とはこのことですね。(笑)
★「総理大臣の英語 」
英語の苦手な人がナッシュビルTNへ旅行するとき、入国審査の少し前にツアーコンダクターが旅行者にアドバイスする短文(呪文)がある。
「ナッシュビル・サイトシーイング・セブンデイズ・○○ホテール」
イミグレーションで係官が短期旅行者に尋ねる事は「いく先?」「目的?」「期間?」「泊まるところ?」くらいなので、先の呪文は中々良くできていると言えなくもない。
九州・沖縄サミットの時、英語の苦手なM首相(当時)にこの手法を取り入れた輩がいた。
先ずニコニコして"How are you?"と言い、相手が何かいったら、"Me ,too"と言えば大丈夫ですと教えた。
首相、 "How are you?"
["I'm fine,And you?"]
"Me,too"
と呪文のごとく丸暗記して実践に臨む。
ところが森さん、出だしのHow をWhoと間違えてしまった。
首相(手をさしのべながら)"Who are you?"(あんただーれ?)
クリントン大統領(戸惑いながらも微笑んで)
"I'm Hillary Clinton's husband"(ヒラリー・クリントンの夫です)
首相(ニコニコ顔で)"Me,too"(私もです)
★「元外交官の会話を助けたあるウイット」
東京オリンピック開催に尽力した一人に元外交官の与謝野 秀(しげる)がいる。(彼は与謝野 鉄幹の二男で与謝野 馨の父親)
オリンピック終了後、ある料亭で与謝野氏の慰労会が開かれました。
宴たけなわに差し掛かった時、呼ばれた芸者の一人が与謝野氏にクレームの直談判「オリンピック記念のコインを買ったが、すぐに錆びついてしまいましたわ!」
一瞬、座が白けたその時、出席者の一人が助け船「そりゃ、当たり前だよ。オリンピックは『酸化』することに意義がある」
満場大爆笑で、くだんの芸者だけが意味が分からなかったとか…。
★「英語はむずかしい 」
有名なジョークにこんなのがある。
気ままな一人旅、
シアトルでサンフランシスコまでの乗車券を1枚買うのに「トゥ・サンフランシスコ」というと2枚の券を出された。
「ノー、ノー。フォー・サンフランシスコ」(サンフランシスコまで)と言いなおすと4枚のチケットを出された。
困ってしまって「エーット」と考え込むと8枚出された。 (コレコレ!)
★「医者と患者 1」
ある医者の元に、患者がやって来た。
医者「今日はどうされました?」
患者「コーヒーを飲むと、目が痛くなるんです」
医者「それは不思議ですね。看護士がコーヒーを持ってきますので、ここで飲んでもらえますか?」
患者がコーヒーを飲む様子を見て、医者が言った。
医者「コーヒーを飲む時は、カップからスプーンを取り出して下さい」
★「医者と患者 2」
医者「さあ、元気を出してください。私も昔、あなたと同じ病気をしました。症状も同じでしたよ」
患者 「でも先生は、違う医者にかかったんでしょう」
★「臨終の言葉」
人は良いが読み書きの苦手なジョンが、病気で入院している友人ロバートのお見舞いに行った。
「ロバート、どうなんだ?具合のほうは、「う…。ぐ…」
体中のあちこちにチューブでつながれたロバートは、満足にしゃべることもできなかった。
「気の毒になぁ……。おい、息子さんに何か伝えたいことがあったら、この紙に書いてくれ。俺がちゃんと持って行くからな」、 「ぐぅっ!!!」
「どうした!ロバート!どうした!」 彼は急いで走り書きしたかと思うと、急にぐったりし、そのまま帰らぬ人となってしまった。
――お通夜の日、ジョンはロバートの息子に会った。
「君に伝言はないかって聞いたら、ロバートは死ぬ1分前にこれを残した。 よっぽどあんたに伝えたかったらしい」
その紙にはこう書いてあった。
『酸素チューブを踏んだ足を外せ!』
★「息子の行く末」
ある資産家が、息子をどういう職業に就かせたらいいか知りたいと思い、部屋に「聖書」と、「リンゴ1個」と、「一ドル紙幣1枚」を置いて、息子を閉じ込めた。
しばらくたって、もし息子が聖書を読んでいたら「牧師」に、
リンゴを食べていたら「百姓」に、
お札を手にしていたら「銀行家」に
しようと考えていた。
様子を見に行ってみると、息子は聖書を尻に敷き、お札をポケットにしまいこみ、リンゴをかじっている最中であった。
くだんの資産家、息子を政治家に・・・と考えているそうな!
★ マーク・トウェイン(1)
原稿を書いているとき、マーク・トウェインは特殊な辞書が必要な事に気づく。その辞書は隣の家にあることを知っていたので、使いの者をやって借りてこさせようとした。
使いは から手でもどると、報告した。「喜んでお貸ししたいが、先さまの書斎で使っていただきたい」とのことでございます。
ひと月ほどすると、今度はその隣人から使いがきて、「自分のところのが壊れてしまったので、トウェインのところの芝刈り機を貸して欲しい」と言ってきた。
トウェインは伝えさせた。「喜んでお貸ししたいが、当方の芝生で使っていただきたい」
★ マーク・トウェイン(2)
解禁日前の森の中。川でマス釣りをしている男がいると、見知らぬ男が近づいてきて声をかける。
「釣れますか?」
「釣れるかって、ここは素晴らしい釣り場だ。私はもう800匹も釣り上げたよ」
見知らぬ男は突然「ところで私が誰か知ってますか?」
「知るもんか!」
「私はこの森と川の番人ですよ」
「じゃ、私のことを知っているかね?」
「いいや」
「このあたりで一番のうそつきだよ!」
★ マーク・トウェイン(3)
牧師「この教会は海難よけで有名な所です。ご覧のように難破せずに助かった人々から感謝状と多大な寄付を沢山いただいております。あなたもおまいりなさいませんか?」
マーク・トウェイン「なーるほど、で、運悪く難破してしまった乗組員の感謝状は無い訳ですね!」
★ マーク・トウェイン(4)
マーク・トウェインの熱心な読者、著者に読後感想を送り続けているも、マークから一度も返信を貰ったことが無いので、次に出す時に返信用の封筒に自分のアドレスと名前を書き、返信用切手を貼った封筒を同封して差し出す。
暫くして、念願のマークから封筒が届く。
中には小片が一枚。
「便箋も送れ!」
★ マーク・トウェイン(5)
ある時、彼は人の講演に招かれて行ったものの、非常に内容がつまらなかった。そして終わったあと講演者に「どうでしたか?」と聞かれて「今日のあんたの講演の一字一句が書かれた本をわしは知っとるよ」と言いました。
相手が「そんな馬鹿な。そんな本があったら見てみたいものだ」と怒る。
マーク・トゥエイン「では送ってあげましょう」
あとでマークが送ったものは「国語辞典」であった。
★「保安官と少年」
或る時、ヒルビリィの腕白小僧ズィークとゼブが野うさぎ狩のため山道を下って来たところ、密造ウィスキー取締りのため登って来た保安官とばったり遭遇した。
保安官「坊やたち、ムーンシャイン(密造)蒸溜所の在る場所を教えてくれたら、あとで君達に2ドルづつあげるが、どうかな?」
ズィーク「先に、今2ドルづつくれた方がいゝと思うよ。」
保安官「そりゃまたどうしてだい?」
ズィーク「多分、小父さんは永久に山から戻っては来れないだろうからさ」
★「三軒のラーメン屋」
三軒のラーメン屋が並んで営業、互いに競い合っています。
ある日、右端の店が「日本一うまいラーメン」と看板を出した。
左端の店も負けじと「世界一うまいラーメン」と看板を出す。
真ん中のラーメン屋、夜も寝ないで昼寝して考えた末、出した看板に
「入り口はこちら!」
(林家三平ネタでした。どうも、スミマセン!)
★「鉄道マンの嘆き」
子供の石置きいたずらの報告に長文の電報を打って上司から「報告は素早く、簡潔に!」とこっぴどく叱られた保線係長、
次の豪雨で線路が流された時の電文にいわく「ホウコク、ムカシセンロアリシトコロ、カワアリ」
(20歳の頃読んだ記憶のある郡司利男著「英語笑辞典」より)
★「社長&副社長」
副社長「社長、素晴らしい回想録をご執筆中だとか。早く読みたいですな」
社長「いや、これは死後にしか発表しないつもりなんじゃ」
副社長「だから早く読みたいんです」
★「主婦の会話」
主婦A
「昨年、軽井沢に別荘を買いましたの。たまにしか行けないので、行くと家の中の掃除とか、庭の雑草抜きなどで大変!2軒目はどこかの温泉地域、出来れば源泉掛け流しのところなんかも欲しいわね」
主婦B
「うちの別荘は1軒のみで温泉はでないけど、伊東市でツリの好きな人にはたまらないみたい」
主婦C
「私はみんなとチョット違うんです。(オットどこかの国の元総理みたいな台詞)、私は別荘は所有したいとは思わないのですが、別荘を持っている友達をたくさん持ちたいなと思っています」 (←ギャフン)
★「盗聴器」
ワシントンDCのホテルに泊まったとき、眠れなくて、ギター相手に夜半過ぎまでカントリーの新曲を作っていた。大ヒットの予感がする素晴らしい曲が書けたら、こんどは盗聴器が付いていないか不安になり、部屋中探すとジュータンの下に丸い筐体を発見、ネジというネジは全部外したけど、肝心の盗聴器らしきものは発見できず朝を迎えた。
翌朝、ホテルのフロントの所を通ったら、下の階でシャンデリアが落ちて騒いでいた!
(1993年12月、Grand Ole Opry に於けるジョニー・ラッセルの小話より改作。ジョニー・ラッセルの元々の話は「ワシントンDCのホテルの部屋へ入るなり盗聴器をさがした・・・で始まる。余りにも拙速な話なので、頭に「ヒットの予感がする素晴らしいカントリー曲を書いたら・・・」を追加しました。)
★「風呂の湯加減が上手な書生」
小石川植物園の正門近くに一人の詩人の居宅がありました。奥さんは居なくて書生がひとり。この書生、さしたる特技はなさそうなるも、当時はどこの家もたいていマキで風呂をたく時代、ご存知の様に火加減が非常にむずかしいのに、風呂の湯加減が抜群にうまい。熱すぎず、かつまたあら湯にありがちなチクチク感もなく上手に風呂を沸かす特技がありました。
暫くして、鈍感な詩人先生にも湯加減がよく、チクチクもしない理由が判る。
風呂焚き役の書生が一番風呂へ入っていたのです。
その詩人とは「おかあさん」の詩などを書いたサトウハチロウさん、書生は後にラジオドラマ「君の名は」を書いた菊田一夫、(大ヒットでラジオドラマ「君の名は」が始まると風呂屋がガラ空きになってしまうという社会現象にもなりましたね。彼はその後東宝の重役になった人)その人でした。
★「健常者が教えられない町を全盲の塙 保己一が教える」
あるとき、■町(■はサンズイにヨシ=義)という町の名を書いた手紙を持って、たずねてまわる者あり。そここことたずねましたが、そんな字はないこととて、探しあてることが出来ません。
そこで、保己一ならきっと読めるだろうというので、訪ねてきました。
そのとき門弟がたくさんいましたが、かれこれ言うだけで、読める者が誰もいません。保己一も首をかしげて考えていましたが、ハタとヒザをたたいて、「それは、油町だろう。」と言いました。弟子たちは不思議がって、そのわけをたずねますと、「それは、この手紙を書くとき、油という字を忘れてしまって、そばにいた者に聞いたのだろう。すると、サンズイにヨシと教えられたものだから、由と書けばよいのに、同じ音の義という字を書いてしまったのにちがいない。」と説明しました。
それを聞いた人びとは、保己一の判断力のすぐれているのに、みなあっと驚きました。保己一の言ったとおり、そのたずねる家は油町にあったということです。
ハナワ ホキイチ
(江戸時代の国学者 塙 保己一 の逸話より)
★「若いカップルと芝居のチケット」
高価なウエディング・プレゼントを沢山もらった新婚カップルの元に町でやっている芝居の人気チケットが2枚郵便で届く、同封の一筆箋には「送ったのは誰でしょう?」の文字が鮮やかに・・・。
二人は面白がって、寄贈者が誰なのか当てる楽しみもあり、劇場へ行き楽しいひと時を過ごした。招待者が誰なのか当てることはかなわずに夜遅く帰宅すると、家の中の貴重品が全て消えていて、床には同じ筆跡の一筆箋で「これで判ったでしょう!」
★「遺伝」
あるパーティで、身体だけが売り物のハリウッド女優と、アインシュタイン博士とおぼしき痩身の科学者が隣同士になった。
女優「私、前から思っておりましたんですの。博士の頭脳と、私の身体を持った子供が産まれたら、どんなに素晴らしい事かと・・・ 」
博士はニベもなく「その逆だったらどうします?」
★昔、藤村有弘という外国語をネタにしたタレントがいました、彼一流のインチキフランス語です。
今日はどちらへ?「アザブジュバーン(麻布十番へ)
ご職業は?「モンペトクワ」
(農業です)
★「ヒラリー・クリントン」
ヒラリー・クリントンは元アメリカ大統領ビル・クリントンの奥さんです。
ある時、夫婦でドライブ中に、たまたま寄ったガソリンスタンドの店員が元カレであった為に少し長話をする。
ビル「ずいぶんと長話だったけど知り合いかい?」
ヒラリー「元カレよ」
ビル「君は僕と結婚していなかったら、ガソリンスタンドの店員の奥さんだったんだ」
ヒラリー「違うわ、彼と結婚していたら、彼が大統領になっていたと思うわ」
★「コモンセンス」 By 小泉八雲
昔、京都に近い愛宕山の、人里から離れた小さな寺に黙想と読経に余念のない高僧がいた。
信心深い田舎の人たちが代わるがわる米や野菜を寄進する事で生活が支えられている。
そんな中に、この山へ獲物をあさりにたびたび来ている猟師がいて、ある日のこと、お寺に一袋の米を持ってきたとき、高僧は、彼に言いました。
「年来、毎日読経黙想をしている功徳として、毎晩、普賢菩薩(フゲンボサツ)が白象に乗ってこの寺にやって来る。お前は今夜ここでその仏様を拝めるぞ!」
猟師は、そう言われたもののこれから実現されようとしている奇跡について疑いを持ち、寺の小僧に尋ねると、小僧もまた、今まで六度も普賢菩薩を拝むことができた、と言います。猟師は、一層疑いを増すばかりでありましたが、約束の実現の時を熱心に待っていました。
いよいよそのタイミングが到来しました。東の空に星のような一点の白い光が見え、その光はだんだん大きくなって山の斜面を残らず照らし、やがてその光は、6本の牙のある、白雲に乗った貴い菩薩の姿になり、光り輝く菩薩を乗せた象は、すぐお寺の前に着きました。
その時、高僧と小僧は、平伏して異常な熱心さで普賢菩薩への読経を始めたのですが、猟師は2人の背後に立ち上がり、手に弓を取って満月のように引き絞り、光明の普賢菩薩に向かって長い弓をひきました。すると、矢は菩薩の胸に深く、羽のところまで突き刺さりました。
突然、落雷のような大音響とともに白い光は消えて、菩薩の姿も見えなくなり、お寺の前は、ただ黒い風が通り抜けるだけになりました。
高僧は、悔恨絶望の涙とともに「お前はなんという極悪非道の人だ。何をしてくれたのだ!」
これに対して猟師は反省のそぶりも見せず
「あなたは、年来の修行と読経の功徳により普賢菩薩を拝むことができるとお考えになりました。だとしたら、殺生をしている自分にも、また小僧にも見ることができないはずです。聖人様に申し上げますが、ご覧になったものは、普賢菩薩ではなくて、あなたをだまして、ことによればあなたを殺そうとする何か化け物に相違ありません。どうか夜の明けるまで我慢してください。そうしたら、私の言うことの間違いでない証拠をご覧に入れましょう」
日の出とともに猟師と高僧は、その姿の立っていたところを調べて、薄い血の跡を発見しました。それからその跡をたどって数百歩離れたところに着いてみると、そこで猟師の矢に貫かれた大きなタヌキの死体を発見しました。
博学にして信心深い人であったが、僧は狸に容易にだまされていた。しかし猟師は、無学無信心ではあったが、強い常識を生まれながらに持っていた。この生まれながらに持っていた常識だけが直ちに危険な迷いを看破し、かつそれを退治することができた。
(管理人注)
私達は、この作品から多くの教訓を引き出すことができます。 その中でも最大のものは「専門バカ」の戒めではないでしょうか?
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