簿記の勉強(続き9) 第5編帳簿・伝票 第23章帳簿 第24章伝票
いよいよ実務の帳簿・伝票処理を学ぶ。 色々な手続きや規則が煩雑に成るが慣れるしかないと思う。
第23章帳簿
1.帳簿の種類
帳簿は主要簿と補助簿が有り、主要簿は全ての取引が記帳され、簿記では欠く事の出来ない帳簿で有る。
補助簿は、特定の取引や勘定の明細が記入され、主要簿の記録を補う帳簿で有る。
・帳簿
@主要簿:全ての取引を記録する帳簿(P/LやB/Sは主要簿を元に作成される)
仕訳帳、総勘定元帳
A補助簿:補助記入帳:特定の取引に付いて明細を発生順記帳する
現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、仕入帳、売上帳、
受取手形記入帳、支払手形記入帳
:補助元帳:特定の勘定の内容に付いて明細を口座別に記帳する
売掛金元帳、買掛金元帳、商品有高帳、営業費内訳帳、固定資産台帳
2.分課制度と帳簿組織
企業規模が大きく成ると、その内部を幾つかの課・係に細分化し、業務を分担させる。 これを分課制度と言う。
分課制度では、業務の分担に応じて、帳簿への記帳も分担させる事が出来る。 この場合、帳簿全体を統一の
取れた仕組みにする事が大切と成る。 この様な帳簿全体の仕組みを帳簿組織と言う。
分課制度の下で帳簿記帳を行うと、一つの取引を複数の係で記帳する事に成るので、記帳上の不正や誤りを
防ぐ事が出来る。 この様な仕組みを内部けん制制度と言う。
例:経理課:会計係:仕訳帳、総勘定元帳の記帳
:出納係:現金出納帳、当座預金出納帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳、営業費内訳帳の記帳
:総務課:用度係:小口現金出納帳の記帳
:庶務係:固定資産台帳の記帳
:営業課:仕入係:仕入帳、買掛金元帳、商品有高帳の記帳
:販売係:売上帳、売掛金元帳の記帳
3.帳簿の形式
帳簿の形式には綴り込み式帳簿やルーズリーフ式帳簿等が有り、いずれの形式の帳簿を使用しても良い。
商法の決まりにより、全ての取引を整然と且つ明瞭に帳簿に記載しなければならず、貸借対照表や損益計算書
等と共に10年間保存しなければならない。
・綴り込み式帳簿
帳簿の用紙を予め書物の様に製本し、ページ数を付した帳簿で有る。
この形式の帳簿は、用紙の紛失等が無いので、帳簿として信用度が高く、主要簿や補助記入帳に多く使用。
・ルーズリーフ式帳簿
帳簿の用紙を自由に抜き差し出来る様にバインダーで綴った帳簿で有る。
この形式の帳簿は、用紙の不足を容易に補う事が出来る等の利点が有るが、用紙の抜き差しの時は、用紙の
紛失が生じないように十分注意が必要。
第24章伝票
1.証票
取引の記帳は、取引の事実を証明する書類に基づいて行う。 この書類を証票と言う。
証票には、取引先から送られて来る送り状(納品書)、領収書、注文書等の書類や、取引先に渡した手形や小切手
注文書の控え等が有る。 証票は重要な証拠書類なので、取引の順序や種類別に分類整理して、大切に保管する。
2.伝票
証票に基づいて、取引の内容を記録する際に、紙片を用意し、これに記入する方法が広く用いられている。
この紙片を伝票と言う。 また、取引の内容に従って伝票を作成する事を起票と言う。
伝票の種類には、仕訳伝票、入金伝票、出金伝票、振替伝票等が有る。
3.仕訳伝票
(1)仕訳伝票とは
仕訳帳に代えて、全ての取引の内容を仕訳の形式で記入する伝票を言う。
仕訳伝票だけを用いる方法を1伝票制と言う。
(2)仕訳伝票の記入のルール
一枚の仕訳伝票に、一つの取引を記入する。
・仕訳伝票の記入項目
@伝票番号:取引の発生順に記入する
A日付欄:取引の発生した年月日を記入する
B勘定科目・金額欄:左側の欄に借方の勘定科目と金額を、右側の欄に貸方の勘定科目と金額を記入する
C元帳欄:転記した総勘定元帳の口座番号またはページ数を記入する
D摘要欄:仕訳帳の小書きの要領で取引の概要(取引の相手先、商品名、数量、単価、支払条件等)を記入
・勘定科目欄の未使用の行には斜め線を引き、追加記入出来ない様にしておく。
(3)総勘定元帳への転記のルール
仕訳伝票から総勘定元帳への転記は、仕訳伝票1枚毎に次の要領で転記する。(個別転記と言う)
@総勘定元帳の摘要欄には、相手勘定科目を記入
A総勘定元帳の仕丁欄には、仕訳伝票の伝票番号を記入
B仕訳伝票の元丁欄には、総勘定元帳の口座番号を記入
4.3伝票制
取引を現金の収支が有ったかどうかと言う点から分けると、入金取引、集金取引、振替取引に分けられる。
この三つの取引を、3種類の伝票を用意して、起票する事を3伝票制と言う。
・入金取引=入金伝票、出金取引=出金伝票、振替取引=振替伝票
・入金取引と出金取引を合わせて現金取引と言う。
・取引:現金取引:入金取引:現金の収入を伴う取引で、仕訳をすると必ず借方「現金」に成る取引=入金伝票記入
:出金取引:現金の支出を伴う取引で、仕訳をすると必ず貸方「現金」に成る取引=出金伝票記入
:振替取引:現金の収支を伴わない取引で、仕訳をした時、
借方・貸方のどちらにも現金とならない取引=振替伝票記入
(1)入金伝票の起票
(借り)現金 xxx (貸し)売上 xxx −−>借方に「現金」が仕訳されたら入金伝票を起票する
この取引を入金伝票に起票する場合、借方の「現金」は記入せず、貸方の「売上」を科目欄に記入する。
入金取引を仕訳した結果、貸方科目が複数に成った場合は、貸方科目の1科目毎に入金伝票を起票する。
入金伝票は通常赤色で印刷されている。
伝票番号、取引日付、相手科目、入金先、摘要欄、金額、合計欄を記入する。
(2)出金伝票の起票
(借り)仕入 xxx (貸し)現金 xxx −−>貸方に「現金」が仕訳されたら出金伝票を起票する。
この取引を出金伝票に起票する場合、貸方の「現金」は記入せず、借方の「仕入」を科目欄に記入する。
出金取引を仕訳した結果、借方科目が複数に成った場合は、借方科目の1科目毎に出金伝票を起票する。
出金伝票は通常青色で印刷されている。
伝票番号、取引日付、相手科目、支払先、摘要欄、金額、合計欄を記入する。
(3)振替伝票の起票
現金の収支を伴わない取引は、振替伝票に仕訳伝票と同様に仕訳の形で記入する。
通常振替伝票は青色または黒色で印刷されている。
(借り)買掛金 xxx (貸し)当座預金 xxx
借方勘定科目・金額欄に借方仕訳内容を、貸方勘定科目・金額欄に貸方仕訳内容を記入する。
伝票番号、取引日付、借方科目・金額、貸方科目・金額、合計欄、摘要欄を記入する。
一つの振替取引で、借方または貸方の勘定科目が複数に成った場合は、例の様に1枚の振替伝票に
借方・貸方の勘定科目が1科目に成る様に記入する。
例: (借り)受取手形 800 (貸し)売上 1000
売掛金 200
振替伝票 No1 振替伝票 No2
受取手形 800 売上 800 売掛金 200 売上 200
摘要:振伝No2 摘要:振伝No1
注:一つの取引に現金取引と振替取引が含まれている場合は、現金取引の部分は入金伝票または出金伝票
を起票し、振替取引の部分を振替伝票を起票する。 この時、一つの取引が2枚以上の伝票に記入される
為、互いに関連し合っている伝票の種類や伝票番号を摘要欄に記入しておく。
例: (借り)受取手形 100 (貸し)売上 240
現金 140
振替伝票 No3 入金伝票 No7
受取手形 100 売上 100 売上 140
摘要:H商店 入金No7 摘要:H商店 振伝No3
(4)3伝票制の集計と総勘定元帳への転記
伝票の枚数が多く成ると、毎日・毎週または月末に伝票の金額を仕訳集計表によって集計してから、総勘定
元帳に合計金額で転記する方法が取られる。 これを合計転記と言う。
−−−>入金伝票ーーーー
取引ーーー|ーーー>出金伝票ーーー|ーーーーー>仕訳集計表ーーーーー>総勘定元帳
−−−>振替伝票ーーーー (合計転記)
注:勘定科目の数や伝票が多い場合は、各勘定科目の借方・貸方毎に伝票集計表を作成してから、
仕訳集計表に記入する方法も有る。
(5)仕訳集計表の作成と総勘定元帳への転記ルール
@入金伝票の金額を集計し、仕訳集計表の現金勘定の借方に記入する。
A出金伝票の金額を集計し、仕訳集計表の現金勘定の貸方に記入する。
B振替伝票の借方票と出金伝票の金額を、各勘定科目別に分類・集計して、仕訳集計表の
各勘定科目の借方に記入する。
C振替伝票の貸方票と入金伝票の金額を、各勘定科目別に分類・集計して、仕訳集計表の
各勘定科目の貸方に記入する。
D仕訳集計表の借方・貸方の金額を合計し、貸借の金額が一致する事を確かめる。
E仕訳集計表の各勘定科目の金額を、総勘定元帳に転記する。
総勘定元帳の摘要欄には、仕訳集計表と記入する。
注:現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳等の補助簿への記入は、各伝票から個別に行う。
例:(1)K商店から商品200を仕入れ代金の内60は現金で支払い、残額は掛けとした。
振替伝票(借方)仕入200 (貸方)買掛金 200(K商店) 出金伝票 買掛金 60(K商店)
(2)M商店に商品160を掛売した。
振替伝票(借方)売掛金160(M商店) (貸方)売上160
(3)KM商店に対する買掛金100を現金で支払った。
出金伝票 買掛金 100(KM商店)
(4)MJ商店に商品250を売渡し、代金の内150は現金で受取り残額は掛けとした。
振替伝票(借方)売掛金250(MJ商店) (貸方)売上250 入金伝票 売掛金150(MJ商店)
(5)M商店に対する売掛金160を、同店振出の小切手で受取った。
入金伝票 売掛金160(M商店)
(6)N商店から商品180を掛けで仕入れた。 引取運賃5は現金で支払った。
振替伝票(借方)仕入180 (貸方)買掛金180(N商店) 出金伝票 仕入5
仕訳集計表
平成0年5月26日
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
借方 |元|勘定科目|元 | 貸方
|丁| |丁 |
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入金伝票(4)+(5) 310| 1|現 金 | 1| 165 出金伝票(1)+(3)+(6)
振替伝票(2)+(4) 410| 4|売掛金 | 4| 310 入金伝票(4)+(5)
出金伝票(1)+(3) 160|12|買掛金 |12| 380 振替伝票(1)+(6)
| | 売上 |31| 410 振替伝票(2)+(4)
振替伝票(1)+(6) 385|41|仕入 | |
+出金伝票(6) | | | |
−−−−−−− −−−−−
1265 1256
======= ======
総勘定元帳
現金 1
−−−−−−−−−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5/26 仕訳集計表 310|5/26 仕訳集計表 165
売掛金 4
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーー
5/26 仕訳集計表 410|5/26 仕訳集計表 310
買掛金 12
−−−−−−−−−ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5/26 仕訳集計表 160|5/26 仕訳集計表 380
売上 31
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーー
|5/26 仕訳集計表 410
仕入 41
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ーーー
5/26 仕訳集計表 385|