工業簿記の基礎(その3) 第九章 部門費計算
1.部門費計算
2.原価部門の設定
3.部門費の計算法
第十章 個別原価計算
1.製造勘定と原価元帳
2.原価計算表の記入
3.仕損品及び作業屑の処理
第9章 部門費計算
1.部門費計算
・原価計算特に個別原価計算において最も重要な事は、間接費を度の様にして合理的に各製品に配賦するかに有る。
製造間接費の配賦方法は、発生した原価を材料費、労務費、経費の要素別に捉え、これらの原価要素中の間接費は、
一旦、間接費内訳帳に集計し、その合計額を一定の配賦基準に従って各製造指図書に配賦する方法である。
しかし、同一工場内で、多くの種類の製品が、色々な作業を経て製造される場合に、間接費をこの様に総括的に捉え、
これを一つの配賦基準で製品に配賦したのでは、製品の間接費負担が不公平に成る事が多い。
・この様な不公平を無くし、製品の原価を正確に計算するには、工場を原価の発生に関連して数種の場所に区分けして、
間接費をその発生した場所、即ち部門毎に捉えて集計し、この集計額をその部門の作業を受けた各製品に配賦して行く方が、
公平適切な配賦額が得られる。
・この部門別に発生し、集計された原価要素を部門費と云う。
この様に、原価要素別に決定された関節費を、直ちに製品に集計せずに、先ずその原価が発生した部門に集計し、それから製品に
負担させる手続きを、部門別原価計算または単に部門費計算と云う。
・間接費は3つの段階を経て、製品単位に集計される。
@原価要素別に捉える。(原価要素別計算)
A関係原価部門に集計する。(原価発生場所別計算)
B製品単位へ負担させる。(原価負担者別計算)
2.原価部門の設定
・原価部門は、原価要素をその発生場所別に集計する、原価計算上の区分であるが、出来るだけ製造技術上の部門や職制上の区分と
一致させた方が良い。 原価部門は、製造部門と補助部門とに分ける。
(1)製造部門
・製造部門とは、その事業の目的とする製品の製造が行われる部門であって、作業または製品の種類、即ち製品生成の段階もしくは
製造活動の種別に従って、これを各種の部門に分ける。
例えば、機械製作工場では、鋳造部門、鍛造部門、機械加工部門、組立部門等に分ける。
(2)補助部門
・補助部門とは、製造を補助する部門であって、補助経営部門と工場管理部門とに分ける。
@補助経営部門
・その事業の目的とする製品の製造に直接関与しないが、自己の製品(自家使用の工具等)または生産的用役(動力、修繕、
運搬等)を、製造部門に提供する部門を云う。
例えば、動力部、修繕部、運搬部、検査部、工具製作部等がこれに属する。
A工場管理部門
・材料或いは労務の管理、企画、設計その他の工場の管理事務を行う部門を云う。
例えば、材料部、労務部、企画部、試験研究部、工場事務部等がこれに属する。
3.部門費の計算方法
・部門費計算においては、それぞれの部門で発生する製造間接費を、部門個別費と部門共通費とに分ける。
(1)部門個別費と部門共通費
・部門個別費とは、特定の部門だけに発生し、その部門に直接賦課する事が出来る原価要素である。
例えば、ある部門の専任事務員の給料、部門直属の工員の賃金、同じく機械減価償却費または修繕費等がこれに属する。
・部門共通費とは、二つ以上の部門に共通に発生する原価要素であって、各部門がその原価要素から受ける用役の程度によって
各部門に配賦しなければ成らないものである。
例えば、工場長の給料、建物減価償却費及び同保険料、租税公課、支払電力料等がこれに属する。
・部門共通費の配賦は、減価要素別に行われるものであって、その配賦基準の一例は以下の通り。
原価要素 配賦基準
a:建物減価償却費 各部門の占める面積
b:支払電力料 各部門の機械馬力数 X 運転時間
c:間接材料費 各部門の推定消費量
d:間接労務費 各部門の直接工員数または各部門の直接工員数 X 作業時間
e:その他の一般管理費 各部門の作業時間数、工員数、面積
(2)部門費配分表
・製造間接費を部門個別費と部門共通費とに分けて、各部門に配賦または賦課する為の計算表を部門費配分表と云い、
原価計算期末に、原価計算係がこれを作成する。
・部門費計算を行う時は、材料費、労務費、経費の各仕訳帳の製造間接費欄は、部門欄と部門共通欄に分けられ、部門共通費は
部門別に成っていないから、配分表の上で配布額を計算し、該当部門欄に記入する。
部門費配分表 平成12年9月分
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原価要素 |基礎記録 |金額 |配賦率|製造部門 |補助経営部門 |工場管理部門
| | | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
| | | |1部門|2部門|動力部|運搬部|修繕部|材料部|工場事務部
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部門個別費 | | | | | | | | | |
(省略) | | | | | | | | | |
小 計 | | 17,000 |省略 |9,100|6,210|370| 620| 130| 80 | 480
部門共通費 | | | | | | | | | |
材料 |材料仕訳帳| 5,000 | |1,750|1,500| 400| 300| 200| 100 | 750
賃金 |賃金仕訳帳|2,000 | | 700| 600| 160| 120| 80| 40| 300
減価償却費|経費仕訳帳| 1,400 | | 560| 420|
70| 70| 70| 70| 140
保険料 | 同上 | 400 | | 160| 120| 20| 20| 20| 20| 70
支払電力料| 同上 | 1,600 | | 640| 400| 160| 240| − | 80| 80
支払ガス代| 同上 | 200 | | 80| 50| 20| 30| − | 10| 10
| |−−−−−−| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
小 計 | | 10,600 | |3,890|3,090| 830| 780 |370| 320| 1,320
| |−−−−−−| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
合 計 | | 27,600 | |13,000|9,300|1,200|1,400|500|400| 1,800
・原価計算係は、部門費配分表の計算結果を会計係に報告し、会計係は総勘定元帳に転記する。
借方:第1製造部門費 13,000 / 貸方:製造間接費 27,600
第2製造部門費 9,300
動力部門費 1,200
運搬部門費 1,400
修繕部門費 500
材料部門費 400
工場事務部門費 1,800
(3)部門費振替表
・部門費配分表によって、製造間接費は部門別に集計されるが、補助部門は仕掛品が通過しないので、各製造指図書に賦課する事が
出来ない。 そこで、製造部門に提供した用役の程度に応じて、補助部門費を製造部門に配賦して行く方法が取られる。
・補助部門費を製造部門に配賦して行く計算表を、部門費振替表と云い、その配賦基準の例は以下の通り。
補助部門費 配賦基準
a:動力部門費 計量器等によって測定した各製造部門の動力消費量、
計量器が無い時は各製造部門に備え付けの機械の馬力数 X 運転時間
b:修繕部門費 各製造部門の修繕高または修繕回数
c:運搬部門費 各製造部門に対する運搬物品の重量、運搬距離、運搬回数
d:材料部門費 各製造部門に出庫した材料の価額、重量
e:工場事務部門費 各製造部門の直接作業時間、従業員数
・以上の補助部門費を製造部門へ配賦する方法に、直接配賦法と相互配賦法の二つがある。
@直接配賦法
・補助部門間に授受する用役をまったく無視し、全ての補助部門費をその用役を受けた製造部門に、その程度に応じて直接
配賦する方法である。
・原価計算期末に部門費振替表が完成すれば、会計係に報告し、会計係は以下の仕分けを行い、総勘定元帳に転記する。
(直接配賦法) 部門費振替表 平成12年9月分
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部門費 |配賦基準 |金額 |第1部門 |第2部門
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動力部門費 |馬力X運転時間 | 1,200| 720| 480
運搬部門費 |運搬回数 | 1,400| 490| 910
修繕部門 |修繕高 | 500| 250| 250
材料部門費 |重量 | 400| 220| 180
工場事務部門費 |従業員数 | 1,800| 1,080| 720
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
配賦額合計 | | 5,300| 2,760| 2,540
製造部門配賦分額 | | 22,300| 13,000| 9,300
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
製造部門費合計 | | 27,600| 15,760|11,840
| |========================
借方:第1製造部門費
2,760 / 貸方:動力部門費 1,200
第2製造部門費 2,540 運搬部門費 1,400
修繕部門費 500
材料部門費 400
工場事務部門費 1,800
A相互配賦法
・補助部門相互間に授受する用役を測定し、先ず補助部門費をその用役を受けた他の補助部門及び製造部門に、用役の程度に
応じて配賦集計する。(第1次配賦)
次に、算出された補助部門費を、更にその与えた用役の程度に応じて製造部門に配賦する方法である。(第2次配賦)
・原価計算期末に部門費振替表が完成すれば、会計係に報告し、会計係は以下の仕分けを行い、総勘定元帳に転記する。
(相互配賦法) 部門費振替表 平成12年9月分
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部門費 | 金 額 |1部門 |2部門 |動力部 |運搬部 |修繕部 |材料部 |工場事務部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
配分表合計額| 27,600| 13,000| 9,300| 1,200| 1,400| 500| 400| 1,800
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
動力部門費 | 1,200| 540| 300| − | 60| 120| 60| 120
運搬部門費 | 1,400| 280| 700| 70| − | 50| 90| 210
修繕部門費 | 500| 210| 190| 20| 30| − | 50| −
材料部門費 | 400| 200| 160| 10| 10| 20| − | −
工場事務部門費| 1,800| 720| 360| 180| 200| 160| 180| −
|−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第1次配賦額| | 1,950| 1,710| 280| 300| 350| 380| 330
|−−−−−−−−−−−−−−−−|===============================
動力部門費 | 280| 170| 110|
運搬部門費 | 300| 150| 150| 注:第1部門=13,000+1,950+850=15,800
修繕部門費 | 350| 140| 210| 第2部門= 9,300+1,710+790=11,800
材料部門費 | 380| 200| 180| ↑ ↑ ↑
工場中無部門費| 330| 190| 140| 部門費 第1次 第2次
|−−−−−−−−−−−−−−−−| 配分額 配賦額 配賦額
第2次配賦額| | 850| 790|
|−−−−−−−−−−−−−−−−|
製造部門費合計|27,600|15,800|11,800|
|================|
借方:第1部門費 2,800(1次+2次配賦額) / 貸方:動力部 1,200(部門費配分額)
第2部門費 2,500( 同上 ) 運搬部門費 1,400(同上 )
修繕部門費 500(同上 )
材料部門費 400(同上 )
工場事務部門費 1,800(同上 )
(4)製造指図書への配賦(製品への配賦)
・製造間接費を各製造部門に全て配賦集計をしたならば、最後に各製造部門費を製造指図書別に(製品別に)配賦する。
・製造部門費を各指図書に配賦する計算手続きは、製造部門毎に適当な配賦基準を定めて行う。
この場合も、実際額を配賦する事が有るが、原則として予定額を配賦する事が多い。
・予定額を配賦するする時は、部門毎に適当な配賦基準、直接作業時間等を用いて予定配賦率を定め、部門別の作業時間票に
よって、部門費予定配賦額表に記入し、月末に各製造部門費の合計額を仕訳を通して製造勘定に振替える。
部門費予定配賦額表
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平成 |指図書番号|第1部門 |第2部門
12年
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
| |実際時間|予定配賦率| 金 額 |実際時間|予定配賦率| 金 額
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10| 5| #1 | 20 | 100 | 2,000 | 15 | 60 | 900
| :| : | : | : | : | : | : | :
|31| : | : | : | : | : | : | :
| | |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
| | | 150 | 100 | 15,000 | 200 | 60 | 12,000
| | |=======================================
・実際額を配賦する場合は、各製造部門費勘定の貸借は一致するが、予定額を配布する場合は、各製造部門毎に差額が生じるから、
この差額は部門費差額勘定に振替えておき、残額は年度末に売上原価に賦課するのが普通である。
(例)a:武門費予定配賦額表の予定配賦は、第1部門費15,000、第2部門費12,000である。
借方:製造 27,000 / 貸方:第1部門費 15,000
第2部門費 12,000
b:実際発生額は、第1部門費15,800、第2部門費11,800である。 そこで、第1部門費の差額800、第2部門費の差額200を
部門費差異勘定に振替える。
借方:部門費差異 800 / 貸方:第1部門費 800
第2部門費 200 部門費差異 200
*部門費計算における元帳勘定間の振替関係*
|<− 材料仕訳帳 −−−−> 間接費内訳帳 部門費予定配賦表
|<− 賃金仕訳帳 ↑ ↓ |
|<− 経費仕訳帳 ↑ 部門費配分表 |
| | |
| 製造間接費 | 製造部門費 | 製 造
| −−−−−−−−−−− | −−−−−−−−−−−− | −−−−−−−−−−−−−
|−>実際発生額|実際発生額−−>実際発生額|予定額 ーー>|ーー>製造部門費|
| 実際発生額|差額 −−−−| 予定額
| ↑ |−−−|
| | |
| |−−部門費振替表 <−−| | 部門費差異
| | | −−−−−−−−
| | |−−> 差額 |
| 補助部門費 |
| −−−−−−−−−−−−− |
|−−>実際発生額|実際発生額−−|
第10章 個別原価計算
1.製造勘定と原価元帳
・個別原価計算においては、製造勘定(仕掛品)の借方に、1原価計算期間の期首仕掛品の原価とその期間の消費高の内直接費を
記入し、これに製造間接費配賦額を加算する。
・製造勘定の借方の合計の内訳を示すものが、原価計算表であって、製造指図書別に設けられる。
原価計算表とは、原価を集計する為の書式で、これらの原価計算書を綴じこんだ帳簿を、原価元帳または製造元帳と云う。
従って、製造元帳は製造原価を集計する統制勘定であって、原価元帳はその補助元帳のの役目を果たす。
・工業簿記では、原価元帳によって、製造指図書別に、製造の為に幾らの原価が消費されたかが明らかにされる。
その期間に製造を完了した全ての製品の原価計算表の金額は、製造勘定の貸方に記入される。
従って、製造勘定の貸借残高は、借方に生じ、それは原価計算期末における未完成品、即ち仕掛品の原価を示し、未完成品の
原価計算表の合計と一致する。
原価計算表
品名 A機械 作業開始日 平成12年9月5日
数量 3台 完成予定日 平成12年9月30日
注文先 S製作所 製造指図書 #7 完成日 平成12年9月30日
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直接材料費 |直接賃金 |製造間接費 |集計
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
平成|伝票|品名|数量|単価|金額|平成|伝票|部門|時間|賃率|金額|平成|部門|配賦|配賦|金額 |摘要|金額
12年|番号| | | | |12年|番号| | | | |12年| |基準|率 | | |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
9|5|#1| B | 10|750|7500|9|10|#2|甲|28|100|2800|9|30|甲|直接|52 |2860|直接|20900
| | | | | | | | | | | |
| |作業| | |材料|
| | | | | | | | | | | | | |時間| | |費 |
10|#4| C | 5|600|3000| 20|#5 |甲|27|100|2700| 30|乙 | 〃|55 |1375|直接| 8000
| | | | | | | | | | | | | | | | |賃金|
| | | | | | | | | | | | | | | |−−−|直接|−
15|#6| D | 20|400|8000| 30|#7 |乙|25|100 |2500| | | | |4235|経費|
| | | | | | | | | | |−−−|===| | | |===|製造|4235
24|#9 |D | 6 |400|2400| | | | | |8000| | | |
| |間接|
| | | | |−−−|===| | | | |===| | | | | |費 |−−−
| | | | |20900| | | | | | | | | | | | |33135
==| | | | |===| | | | | | | | | | | | |===
|完成| 3
|数量|
|製品|11045
|単価|
*総勘定元帳*
製 造
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
11/30材料費 29,250|11/30製品 49,320
〃 賃金 22,235| 〃 次月繰越 18,000
〃 経費 3,400| /
〃 製造間接費
12,320| /
−−−−| −−−−−−−
67,320| 67,320
=====| =======
12/1 前月繰越 18,000|
*製造勘定の借方は、原価元帳の全製造指図書の原価要素の消費合計額(含む未完成分)を記入し、
貸方には、完成品の総合計を記入する。
*原価元帳*
製造指図書#1 (完成品)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
平成12年|直接材料費|直接賃金|直接経費|製造間接費|集計
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
11|10| 3,830 | 2,740| 1,000| |直接材料費 | 11,500
|20| 2,400 | 1,680| 1,000| |直接賃金 | 8,620
|30| 5,270 | 4,200| | 5,340 |直接経費 | 2,000
| | | | | |製造間接費 | 5,340
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |−−−−−−
| | 11,500 | 8,620| 2,000| 5,340 | | 27,460
| |======================| |======
製造指図書#2 (完成品)
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平成12年|直接材料費|直接賃金|直接経費|製造間接費|集計
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
11|10| 2,760 | 2,400| | |直接材料費 | 9,350
|20| 3,200 | 2,860| 800| |直接賃金 | 7,310
|30| 3,390 | 2,050| 600| 3,800 |直接経費 | 1,400
| | | | | |製造間接費 | 3,800
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |−−−−−−
| | 9,350 | 7,310| 1,400| 3,800 | | 21,860
| |======================| |======
製造指図書#3 (未完成品)
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平成12年|直接材料費|直接賃金|直接経費|製造間接費|集計
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
11|10| 2,800 | 2,100| | |直接材料費 |
|20| 4,500 | 3,300| | |直接賃金 |
|30| 1,100 | 1,020| | |直接経費 |
| | | | | |製造間接費 |
| |−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |−−−−−−
| | | | | | |
| |======================| |======
*未完成品の原価計算表は、月末に締切っても良い。 但し、この時は繰越をする。
2.原価計算表の記入
・原価計算係が製造指図書を受入れると、原価元帳に指図書と同じ番号の口座(原価計算表)を設け、指図書の要領を写し、製造原価の
集計に備える。 原価計算表の記入は、次の様に行う。
(1)直接材料費欄
・直接材料費欄は、出庫票によって出庫の都度記入する。 しかし、出庫票の枚数が多い時は、直接材料賦課表(直接材料割賦表
とも云う)に出庫表を指図書別に分類整理して記入し、定期的に(月末または10日毎に)、その合計額を原価計算表に転記する事もある。
(2)直接賃金欄
・直接賃金欄は、作業時間票または出来高票によって記入する。 この場合も伝票の枚数が多い時は、直接賃金賦課票(直接賃金割賦表
とも云う)に作業時間票または出来高票を指図書別に記入し、定期的にその合計額を原価計算表に転記する。
(3)直接経費欄
・直接経費の発生する事が多い時は、直接経費欄を設けて、外注加工費、特許使用料等のものを記入する。
(4)製造間接費欄
・指図書番号の無い出庫票、作業時間票または経費の大部分は関節費で有るから、1原価計算期間におけるこれらの費目を集計して
各指図書に配賦する。
・製造間接費は原則として予定額を記入する。 即ち、工場全体について、また部門費計算の行われている時は部門毎に、予定配賦表を
作る。 これによって、各製造指図書別に製造が完了した時、または原価計算期末に配賦額を記入する。
・原価計算表は製品が完成した時に、締切る。
3.仕損品及び作業屑の処理
・仕損品とは、材料の不良、設備の不完全、不注意または過失の為に合格品とならなかったものを云い、その為に生じた損害を仕損費
と云う。 仕損費は、原則として、これを製造間接費とし、その予定額を、負担すべき製造部門に賦課する。
従って、仕損費は、間接費の予定配賦率の計算における各製造部門の予定配賦額の中に算入される。
但し、仕損費の見積が困難な場合には、これを間接費としないで、その実際発生額を直接に製造指図書に賦課する事が出来る。
・注:異常な状態で(災害、盗難等)仕損が生じた場合は、これによる損失を原価に算入しない。(費用の勘定に振替える)
・仕損費の実際発生額の計算手続きは次の通り。
@仕損が補修によって回復する見込みが有る場合は、補修の為に要した原価を全て仕損費とする。
A仕損が補修によって回復できない為に、代品を製作する場合には、
a:旧製品の全部について代品を作成する時は、補修指図書を発行する場合には、旧製品の製造原価を全て仕損費とし、
別個の指図書を発行しない場合には、新製品の製造原価を仕損費とする。
b:旧製品の一部に付いて代品を製作する時は、新製品の製造原価を全て仕損費とすr。
・仕損品が売却価額または利用価額を持つ場合いは、その見積金額を控除したものを仕損費とする。
(例)a:仕損品50,000が生じた。
借方:仕損品 50,000 / 貸方:製造 50,000
b:仕損品の販売見積価額30,000を差引いて20,000を仕損費とする。
借方:仕損費 20,000 / 貸方:仕損品 20,000
c:仕損品を販売し、現金30,000を受け取った。
借方:現金 30,000 / 貸方:仕損品 20,000
・作業屑とは、加工の時に生ずる材料の削り屑等の様なものを云う。
これは、その売却価額または利用価額を見積もって評価し、次の様に処理する。
@作業屑の発生額が、各製造指図書毎に区別して計算出来る場合には、これをその発生した製造指図書の直接材料費または
製造原価から控除する。
A作業屑の発生額が、各製造指図書毎に区別して計算できない場合には、これを製造間接費またはその発生した部門の部門費から
控除する。
B作業屑の発生額が僅かであって、その都度これを計上する必要の無い場合には、発生の時は無視して、後に処分した時の収益を
雑益とする。
(例)a:作業屑が発生し、これを4,000と見積、製造勘定から控除した。
借方:作業屑 4,000 / 貸方:製造 4,000
b:上記作業屑を4,000で売却して現金を受取った。
借方:現金 4,000 / 貸方:作業屑 4,000
c:かねて発生した作業屑を、評価額を無視して倉庫に保管しておいたが、後にこれを2,000で売却し、現金を受取った。
借方:現金 2,000 / 貸方:雑益 2,000
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